付きまとったり立ち塞がるキャッチ業者に行政処分を与える方法


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誰しも一度ぐらいはキャッチセールスの販売員に声を掛けられて迷惑した経験があるのではないかと思います。

もちろん、キャッチセールスをしている業者の中にもきちんと法令を遵守してルールに従って勧誘を行っている業者も多いと思いますが、中には声を掛けた人に執拗に付きまとったり、歩いている方向に立ちふさがって”とうせんぼ”状態にして強引に契約を迫る悪質業者が存在しているのも事実です。

このような”付きまとい”や”立ち塞がり”など悪質な勧誘を行うキャッチセールス業者に出合った場合には一切相手にせず無視することが最善ですが、このような悪質業者を社会から根絶させるためにはその業者の悪質な勧誘を監督官庁に届け出て行政処分を題してもらうのが最善の方法となります。

そこで今回は、執拗な”付きまとい”や”立ちふさがり”などの悪質なキャッチセールスに遭遇した場合にどのような手順でその業者に行政処分を与えることができるのか、という点について考えてみることにいたしましょう。

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キャッチセールスで付きまとったり立ち塞がったりする業者の違法性の根拠

キャッチセールスで”付きまとい”や”立ち塞がり”で勧誘を行う業者に行政処分を与える方法を考える前提として、着きまといや立ち塞がりによって勧誘を行うことがどのような法律に違反するのかという点を理解しておかなければなりません。

特定商取引法第7条第4号/同条施行規則第7条第6号に違反する

キャッチセールスで勧誘を行う事業者の販売員等は、その勧誘をするために道路やその他の公共の場所において、顧客の進路に立ちふさがったり顧客につきまとったりすることが法律で明確に禁止されています(特定商取引法第7条第4号で適用する同条施行規則第7条第6号

【特定商取引法第7条第4号】

主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が(省略)次に掲げる行為をした場合において、訪問販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
 1号~3号(省略)
 4号 前3号に掲げるもののほか、訪問販売に関する行為であって、訪問販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの

【特定商取引法施行規則第7条】

 法第7条第4号の主務省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
 1号~5号(省略)
 1号 訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするため、道路その他の公共の場所において、顧客の進路に立ちふさがり、又は顧客につきまとうこと
 7号(省略)

※注)特定商取引法でいう「訪問販売」にはキャッチセールスやアポイントメントセールスなど事業者の営業所以外で勧誘を行う販売形態も含まれます。

そのため、このようにキャッチセールスで顧客を勧誘する業者の販売員が「道路その他の公共の場所」において「顧客の進路にたちふさが」ったり、「顧客につきまと」ったりした場合には、その業者は法令違反として行政処分の対象となるものと考えられます。

なお、この場合の「公共の場所」とは、一般の人が自由に利用できる場所の全てを指していますので、路上だけでなく公園や劇場、映画館、飲食店等で声を掛けられた場合であっても全て「公共の場所」としてこの「立ち塞がり」や「付きまとい」の規制の対象になります。

(経済産業省通達「特定商取引に関する法律等の施行について」平成25年2月20日14頁参照)

第5号
本号はキャッチセールスを念頭においた規定であるが、「公共の場所」とは、およそ公衆が利用できる場所全てを指すものであり、公園、公会堂のみならず劇場、映画館、飲食店等も含むものである。

(経済産業省通達「特定商取引に関する法律等の施行について」平成25年2月20日14頁より引用)

※なお、「立ち塞がり」や「付きまとい」以外の迷惑行為による勧誘についてはこちらのページで解説しています。

▶ 訪問販売等の業者の「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘の具体例

特定商取引法第3条の2第2項に違反する

前述したように、キャッチセールスの販売員が”付きまとい”によって勧誘を行った場合には特定商取引法第7条第4号で適用する同条施行規則第7条第1号に違反することが考えられますが、仮にこの場合、勧誘を受けた顧客が「契約するつもりはありません」などと契約をする意思がないことを表示したにもかかわらず、なお付きまといによって勧誘を迫った場合には、その業者は「再勧誘の禁止」を規定した特定商取引法の第3条の2第2項にも違反することになります(特定商取引法第3条の2第2項)。

【特定商取引法第3条の2第2項】

販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。

(※注:特定商取引法にいう”訪問販売”にはキャッチセールスやアポイントメントセールスも含まれます)

このように、特定商取引法では、キャッチセールスの勧誘を受けた人が「契約するつもりはありません」などと”契約を締結しない旨の意思表示”を行った後は一切の勧誘が禁じられていますから、それ以後も執拗に勧誘を継続した場合にはこの「再勧誘の禁止」に違反することになり、行政処分の対象となると考えられます。

なお、再勧誘の禁止における「契約を締結しない旨の意思表示」がどのような言動を指すのかという点についてはこちらのページで解説しています。

▶ 以後の勧誘が禁止される「契約を締結しない旨の意思表示」とは?

キャッチセールスで”付きまとい”や”立ちふさがり”を行う業者に行政処分を与えたい場合の具体的手順

上記のように、キャッチセールスの販売員に執拗に付きまとわれたり、進行方向に立ち塞がれたりした場合にはその業者は法令違反となりますので、監督官庁に違法行為の申出を行うことによりその悪質なキャッチセールス業者に行政処分を与えることが可能です。

この場合、実際に業者に行政処分を与える際の大まかな手順は以下のとおりです。

① キャッチセールスの販売員から業者の名称と住所を聞き出す

監督官庁である消費者庁や都道府県に違法行為の申出を行う場合には、その違法行為を行っている業者の名称(業者名)と住所(業者の所在地)が必要となります。

そのため、悪質なキャッチセールスに付きまとわれたり立ち塞がれたりした場合には、その販売員から業者名と住所を聞き出すか、名刺をもらうか、チラシなどの資料をもらうなどして、その業者の名称(業者名)と住所(業者の所在地)を把握しておくようにしましょう。

② 可能であればキャッチセールスの販売員等の勧誘状況を撮影・録音などしておく

特定商取引法第60条の申出を行った場合には、申出を受けた監督官庁は必ず調査を行わなければならず、調査の結果その申し出に理由があると認められるときは業務停止など必要な措置をとることが義務付けられます(特定商取引法第60条第2項)。

この場合、その違法行為のあったことを証明する証拠があった方が、監督官庁に「申し出に理由がある」と判断してもらえる可能性が高くなりますので、業者に行政処分が与えられる可能性を少しでも高くしたい場合には、違法な勧誘を受けている状況を撮影するなどしてその動画や音声記録を証拠として提出するほうが良いと思われます。

もっとも、違法なキャッチセールスの販売員等にスマホやデジカメのレンズを向けて撮影するわけにもいきませんので、このような場合に記録を残したい場合には、スマホのデジカメ機能などのスイッチを気付かれないようにONにしてスマホを手に持って画面を下に向けたまま歩いたり、スマホを胸のポケットなどに入れて音声だけでも記録しておくようにすればよいでしょう。

音声だけでも記録が残っていれば、少なくともその記録に残っている時間は執拗な勧誘を受けたことが証明できますので監督官庁に違法行為の事実を証明できる証拠にはなると思います。

ただし、本来は特定商取引法第60条の申出に証拠の添付は必要ありませんので、記録をとるのが難しい場合は無理して記録をとる必要もありません。

③ 違法行為の申出書を作成する

悪質なキャッチセールス業者に行政処分を出してもらうために行う違法行為の申出は、特定商取引法の第60条に規定された申出制度によることになります。

そして、この特定商取引法第60条の申出は、必ず”書面”で行うことが法律で定められていますので、悪質なキャッチセールス業者に行政処分を与えるため違法行為の申出を行う場合にも、その違法行為の内容を記載した「申出書」を作成し、その書面を消費者庁または都道府県庁に提出しなければならないことになります。

なお、この場合の申出書の記載例(サンプル)についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 執拗に付きまとうキャッチセールス業者の行政処分申出書の記載例

▶ 道路で立ち塞がるキャッチセールス業者の行政処分申出書の記載例

④ 違法行為の申出書を監督官庁に提出する

申出書の作成が終わったら、その申出書を監督官庁である消費者庁あるいは都道府県庁に提出します。

なお、この場合の具体的な提出先等や申出の手順などについてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法


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