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訪問販売等でクレジット契約をクーリングオフ(解約)する方法

訪問販売や電話勧誘販売で商品やサービスを購入した場合には、契約に関する書類を受け取ってから8日が経過するまでの間であれば、購入者側から無条件に一方的に契約を解除することができます。

▶ 詳しくはこちら→ 訪問販売・電話勧誘販売による契約をクーリングオフする方法

クーリングオフによって契約を解除すれば代金を支払う義務は消滅しますから、当然代金を支払う必要はなくなりますし、支払った代金がある場合には業者から全額返還してもらうことが可能です。

しかし、代金の支払いをクレジット会社のクレジット契約を利用した分割払いにしているような場合は異なります。

代金の支払いをクレジット払いにしている場合は「消費者と販売業者」との間の”売買契約(工事の場合は請負契約等)”と「消費者とクレジット会社」の”クレジット契約”の2つの契約が同時に結ばれることになりますが、この2つの契約は法律上全く別個の契約として存在しているため、販売業者との契約をクーリングオフによって解除(解約)したとしても、当然にはそのクーリングオフの効果はクレジット会社とのクレジット契約に影響を及ぼさないからです。

その結果どうなるかというと、販売会社との間の契約をクーリングオフで解除(解約)したにもかかわらず、クレジット会社から解除したはず商品やサービス(工事)の代金の支払い請求がなされてしまうという不都合な問題が生じてしまうわけです。

このような問題を回避するため、割賦販売法という法律では、訪問販売や電話勧誘販売で購入した商品やサービス(工事)の代金の支払いをクレジット払いにしている場合における、”そのクレジット契約”をクーリングオフ(契約解除)する制度を設けています。

そこで今回は、訪問販売や電話勧誘販売で購入した商品やサービス(工事)の代金支払いをクレジット払いにしている場合(クレジット契約を利用している場合)における「クレジット契約のクーリングオフ」の手続きについて解説していくことにしましょう。

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クレジット契約をクーリングオフする方法

前述したように、代金の支払いをクレジット払いにする契約では「消費者と販売業者」との間の”売買契約(工事の場合は請負契約等)”と「消費者とクレジット会社」の”クレジット契約”の2つの契約が同時に結ばれることになります。

そのため、仮に「消費者と販売業者」の間で結ばれた契約をクーリングオフによって解除(解約)したとしても、その解約の効果は当然にはクレジット契約に及ばないためクレジット会社から支払いの請求が来た場合にはその請求を拒否することはできません。

そこで必要になるのが、クレジット会社との間の契約である「クレジット契約」のクーリングオフ(契約解除)です。

この点、割賦販売法という法律では、訪問販売や電話勧誘販売で購入した商品やサービス(工事)の代金の支払いをクレジット払いにしている場合に、そのクレジット契約をクーリングオフによって(解除)する手続きが規定されています(割賦販売法第35条の3の10)。

 【割賦販売法第35条の3の10】

第1項 次の各号に掲げる場合において、当該各号に定める者(省略)は、書面により、申込みの撤回等(省略)を行うことができる。ただし、前条第3項の書面を受領した日(省略)から起算して8日を経過したとき(省略)は、この限りでない。
 1号~(以下省略)

このクレジット契約のクーリングオフ(契約解除)は基本的に訪問販売などの売買契約等をクーリングオフする場合と同じになりますので、具体的なクーリングオフの手続きの詳細は『訪問販売・電話勧誘販売による契約をクーリングオフする方法』のページを参考にしていただきたく思いますが、クレジット契約に関する契約書を受け取ってから8日が経過するまでの間に、クレジット会社に対して契約解除通知書(クーリングオフ通知書)を送付するというのが基本的なクーリングオフ方法となります。

※なお、クレジット契約をクーリングオフ(契約解除)する場合の通知書の記載例(書き方)についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 訪問販売等でのクレジット契約のクーリングオフ通知書の記載例

勿論、クレジット会社から法定の記載事項の記載された契約書が交付されなかったり、交付されても記載内容に不備があるような場合はこの8日という期間が経過しませんから、8日が経過した後も永遠にクーリングオフ通知書を発送してクーリングオフすることが可能です(※この点についても『訪問販売・電話勧誘販売による契約をクーリングオフする方法』のページを参考にしてください)。

また、クレジット会社に対するクーリングオフ(契約解除)が契約解除通知書を”発送”したときにその効力(契約解除の効力)を生ずるという点も販売会社等に対するクーリングオフと同じになります(割賦販売法第35条の3の10第2項)。

【割賦販売法第35条の3の10第2項】

申込みの撤回等は、前項本文の書面を発した時に、その効力を生ずる。

クレジット契約をクーリングオフ(契約解除)すれば、改めて販売業者との契約をクーリングオフする必要はない

前述したように、訪問販売や電話勧誘販売で購入した商品やサービス(工事)の代金の支払いをクレジット払いにしている場合には、その「クレジット契約」をクーリングオフ(契約解除)することが可能です。

この場合、このようにクレジット会社とのクレジット契約をクーリングオフによって解除(解約)した場合、その元になっている訪問販売業者や電話勧誘販売業者との間で結ばれた商品やサービス(工事)の契約はどのようになるのかという点が問題になりますが、クレジット会社に契約解除通知書を送付して「クレジット契約」をクーリングオフ(契約解除)すると、自動的にその元となる販売業者等との契約もクーリングオフ(契約解除)されたことになります(割賦販売法第35条の3の10第4項ないし第5項)。

購入者から契約解除の通知書(クーリングオフ通知書)を受け取ったクレジット会社は、クレジット契約が解除されたことを訪問販売業者や電話勧誘販売業者に通知する必要があり(割賦販売法第35条の3の10第4項)、また原則としてクレジット会社に契約解除通知書(クーリングオフ通知書)を発送した時点で販売業者等との契約も解除(クーリングオフ)されたものとみなされるからです(割賦販売法第35条の3の10第5項)。

【割賦販売法第35条の3の10】

第4項 個別信用購入あっせん業者は、第1項本文の書面を受領した時には、直ちに、個別信用購入あっせん関係販売業者又は個別信用購入あっせん関係役務提供事業者にその旨を通知しなければならない。

第5項 申込者等が申込みの撤回等を行った場合には、当該申込みの撤回等に係る第1項本文の書面を発する時において現に効力を有する個別信用購入あっせん関係販売契約若しくは個別信用購入あっせん関係役務提供契約の申込み又は個別信用購入あっせん関係販売契約若しくは個別信用購入あっせん関係役務提供契約は、当該申込者等が当該書面を発した時に、撤回されたものとみなし、又は解除されたものとみなす。ただし、当該申込者等が当該書面において反対の意思を表示しているときは、この限りでない。

そのため、訪問販売や電話勧誘販売で購入した商品やサービス(工事)の代金の支払いをクレジット払いにしている場合においてその契約を解除したい場合には、クレジット会社に対して契約解除通知書(クーリングオフ通知書)を発送すれば足り、そのうえで改めて販売業者に契約解除通知書を送付する必要はないということになります。

このページの冒頭でも説明したとおり販売業者等との”商品の売買契約”や”工事等の契約”などとクレジット会社との”クレジット契約”は法律上全く別の契約となるので、通常であればクレジット契約を解除してもその元となる”商品の売買契約”や”工事等の契約”は解除されることはありませんが、この割賦販売法第35条の3の10第5項の規定があることによって、クレジット契約が解除された効果がその元となる”商品の売買契約”や”工事等の契約”の契約に連動することにしているのです。

こうすることで、クレジット会社と販売業者の両方に契約解除通知書を送付するという「二度手間」を排除することができることになります。

繰り返しますが、訪問販売や電話勧誘販売の代金の支払いをクレジット払いにしている場合には、「クレジット会社」に契約解除通知書を送付すれば、”クレジット契約”も”販売業者との契約”も両方ともクーリングオフ(契約解除)されることになります。

※ただし、割賦販売法第35条の3の10第5項の但書にあるように、購入者がクレジット会社へのクーリングオフ通知書に「クレジット契約はクーリングオフしますがその元となる販売業者との間の契約はクーリングオフしません」などと記載している場合にはクレジット会社とのクレジット契約を解除しても販売業者との間の契約は自動的に解除されません。

クレジット契約をクーリングオフ(契約解除)した効果

上記で説明したとおり、訪問販売や電話勧誘販売で購入した商品やサービス(工事)の代金の支払いをクレジット払いにしている場合には、クレジット会社に対して契約解除通知書(クーリングオフ通知書を送付することにより、クレジット契約と販売業者との契約を双方とも解除(解約)することが可能です。

この場合、契約解除(クーリングオフ)するまでの間にクレジット会社に支払っているお金(銀行口座から引き落とされているお金も含む)がある場合には、クレジット会社はクーリングオフした購入者(消費者)にその全額を返還しなければならないことになっています(割賦販売法第35条の3の10第9項)。

そのため、たとえ販売業者が悪質業者で行方知らずになっていたとしても、クレジット会社から支払い済みの代金を回収することができます(※クレジット会社は通常大手の金融機関なので回収できないことはないと思われます)。

ちなみにこの場合、販売業者がクレジット会社から立て替えられた代金を受け取っている場合には、クレジット会社が販売業者に対して「お金を返せ」と請求することになります。

なお、クレジット会社とのクレジット契約を解除(クーリングオフ)した結果、販売業者との契約も解除(クーリングオフ)されたものとみなされる効果として、販売業者から受け取った商品を返還する義務が発生しますが、その費用は全て販売業者側が負担しなければなりませんのでクーリングオフすることによって販売業者からお金を請求されたとしても一切支払う必要はありません(割賦販売法第35条の3の10第6項)。

また、販売業者との契約がリフォーム工事などのサービスである場合には、販売業者等は元の状態に(工事する前の状態に)戻す義務が生じますが、当然その場合の原状回復費用も販売業者側の負担となりますので「お前のとこの費用で元にもどせ!」と販売業者に対して請求することができます(割賦販売法第35条の3の5第14項)。

(※この点は通常のクーリングオフと同じです。)