不動産(土地や建物)の売買契約をクーリングオフする方法


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訪問販売や電話勧誘販売によって商品や権利(エステティックサロンの利用権など)、役務(リフォーム工事やシロアリ駆除などのサービス)を購入する契約を結んだ場合には、その契約書を受け取った日から起算して8日が経過するまでの間であればその契約を無条件に一方的に解除(解約)することが可能です(特定商取引法第9条特定商取引法第24条)。

▶ 詳細は→ 訪問販売・電話勧誘販売による契約をクーリングオフする方法

この契約解除の制度は一般に”クーリングオフ”という名称で知られていますが、土地や建物といった不動産についてもクーリングオフが認められていますので、訪問販売や電話勧誘販売で不動産(土地・建物)を購入した場合も無条件に一方的に契約を解除することが可能です。

もっとも、土地や建物といった不動産のクーリングオフについては上記の特定商取引法ではなく宅地建物取引業法という法律に独自に規定されていますので、通常の訪問販売等における商品や権利、役務といったものの場合とは若干クーリングオフの方法や手順に違いが生じています。

そこで今回は、土地や建物といった不動産をクーリングオフ(契約解除)する場合の具体的な要件や手順、その方法などについて考えてみることにいたしましょう。

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不動産をクーリングオフする方法

土地や建物といった不動産のクーリングオフ手続きについては宅地建物取引業法の第37条の2に規定されています。

【宅地建物取引業法第37条の2】

宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(省略)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(省略)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(省略)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
 1号 買受けの申込みをした者又は買主(省略)が、国土交通省令・内閣府令の定めるところにより、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げられた場合において、その告げられた日から起算して8日を経過したとき。
 2号 申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったとき。

この規定によると、不動産の購入契約をクーリングオフする場合は以下の点に注意することが必要となります。

① 訪問販売または電話勧誘販売によって購入したこと

土地や建物といった不動産をクーリングオフできるのは、訪問販売や電話勧誘販売によって宅地建物取引業者から土地や建物を購入した場合に限られます。

訪問販売や電話勧誘販売とは、例えば自宅に販売員が訪問して「〇〇の物件を買いませんか」などと勧誘される場合(訪問販売)や、突然電話を掛けてきて「〇〇の投資用マンションを購入してみませんか」などと勧誘を受ける場合などをいいますので、自分から業者の店舗に出向いた場合などはクーリングオフすることはできません。

また、不動産のクーリングオフ(契約解除)ができるのは不動産を”購入”した場合に限られますので”賃貸”契約を行った場合にはクーリングオフによって契約を解除することはできないことになります。

② 販売業者が宅地建物取引業者であること

また、販売する側が宅地建物取引業者であることが必要ですので、例えば宅建業者ではない友人から電話が掛かってきて「俺の投資用マンション買い取ってくれない?」と言われ購入した場合には、購入した相手が宅地建物取引業者ではないのでクーリングオフできないことになります。

③ 業者からクーリングオフ(契約の解除)が出来ること及びクーリングオフする方法(契約解除の方法)についての説明を受けてから8日が経過していないこと

土地や建物などの不動産を訪問販売や電話勧誘販売で購入した場合に、その契約をクーリングオフによって解除(解約)する場合には、販売する宅建業者から勧誘に際してその不動産の購入契約が「クーリングオフによって解約できること」及び「クーリングオフする場合の具体的な方法」の説明を受けた日から8日が経過するまでにクーリングオフ(契約解除)の意思表示をする必要があります。

この点、宅建業者から「クーリングオフによって解約できること」及び「クーリングオフする場合の具体的な方法」の説明がなされなかった場合にはどうなるか、という点が問題になりますが、宅建業者からクーリングオフに関する説明がなかった場合には、クーリングオフ期間の8日間という期間が永遠に到来しないことになりますので、宅建業者から改めてクーリングオフに関する説明がなされない限り、いつまででもクーリングオフによって契約の解除をすることができるということになります。

あくまでも「クーリングオフに関する説明を受けた日」が基準となりますので(※ただし後述の④が必要)、「契約日」から8日が経過した場合であってもクーリングオフに関する説明を受けた日がその後であれば説明を受けた日から8日を計算することになります。

④ 業者からクーリングオフ(契約の解除)の説明を記載した書面が交付されない場合は8日が経過したあとでもクーリングオフできる

上記の③で説明したように、宅建業者から「クーリングオフによって解約できること」及び「クーリングオフする場合の具体的な方法」の説明がなされた場合には、その説明がなされた日から8日が経過してしまうとクーリングオフによって契約を解除することができなくなります。

しかし、この宅建業者がクーリングオフに関して説明する際は、そのクーリングオフに関する事項について説明された書面を作成し、購入者に交付することが必要となりますので(宅地建物取引業法施行規則第16条の6)、そのクーリングオフに関する説明書面が交付されていない場合にはクーリングオフの行使期間である8日間が永遠に到来しないことになり、宅建業者から改めてクーリングオフに関する説明書面が交付されない限り、いつまででもクーリングオフ(契約解除)することが可能になります。

【宅地建物取引業法施行規則第16条の6】

 法第37条の2第1項第1号の規定により申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げるときは、次に掲げる事項を記載した書面を交付して告げなければならない。
 1号 買受けの申込みをした者又は買主の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所
 2号 売主である宅地建物取引業者の商号又は名称及び住所並びに免許証番号
 3号 告げられた日から起算して8日を経過する日までの間は、宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つた場合を除き、書面により買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除を行うことができること。
 4号 前号の買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除があったときは、宅地建物取引業者は、その買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができないこと。
 5号 第3号の買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除は、買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除を行う旨を記載した書面を発した時に、その効力を生ずること。
 6号 第3号の買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除があった場合において、その買受けの申込み又は売買契約の締結に際し手付金その他の金銭が支払われているときは、宅地建物取引業者は、遅滞なく、その全額を返還すること。

⑤ 書面でクーリングオフ(契約解除)の通知を行うこと

土地や建物といった不動産の購入契約をクーリングオフ(契約解除)する場合は、宅地建物取引業法第37条の2で「書面により・・・解除を行うことができる」と規定されていますので、書面を作成して通知することが必要となります。

通常は、クーリングオフ通知書(契約解除通知書)を作成して宅建業者に送付しますが、相手方に確実に送付されたことを担保するために内容証明郵便で発送するのが安全でしょう。

⑥ クーリングオフ通知書(契約解除通知書)は”発送”したときに効力を生じる

クーリングオフ通知書(契約解除通知書)は、通知書が相手方に”到着”した時ではなく”発送”したときに効力が生じます。

宅建業者からクーリングオフの説明を受け、かつ、クーリングオフに関する書面を受けた日から8日が経過する日の夜12時までに郵便局にクーリングオフ通知書(契約解除通知書)を持参してその日までの消印を押してもらえれば、8日後に宅建業者に送付されたとしても契約解除の効力は有効に発生することになります。

⑦ 「8日が経過するまで」とは初日も含めて8日という意味

このクーリングオフ期間の8日は、「初日も含めて8日が経過するまで」という意味になりますので、例えば宅建業者からクーリングオフに関する説明を受け、かつクーリングオフに関する書面が交付されたのが8月1日であったとすると、その日を含めて8日後となる8月8日の夜12時までに郵便局に提出し8月8日の消印が打刻されていればそのクーリングオフは法律的に有効になるということになります。

もっとも、実際には夕方には郵便局は閉まってしまいますので、夕方の閉局時間までに郵便局に提出できない場合には、インターネットを利用して郵便局のサイトから電子内容証明を利用して発送するしかないと思われます。

▶ e内容証明 – 日本郵便

⑧ 不動産の引渡又は代金の全額を支払っていないこと

以上のように、宅建業者からクーリングオフに関する説明を書面を交付される形で受けた日から8日が経過するまでであれば無条件に一方的にその契約を解除することが可能です。

ただし、8日が経過するまでの間に不動産の引渡を受けてしまったり、代金の全額を受領してしまっている場合にはクーリングオフができなくなります。

「不動産の引渡」とは所有権移転登記を法務局に申請し名義変更が終わることを意味するため、通常は8日以内に名義変更がなされることは想定し難いと考えられますが、仮に8日以内に引き渡しが終わっている場合はクーリングオフはできなくなりますので注意が必要です。

なお、代金の「全額」を支払った場合もクーリングオフできなくなりますが、代金の一部を手付金などの名目で支払っている場合には全額を支払ったことにはならないので8日以内であればクーリングオフによって契約を解除することが可能となります。

代金の支払いをクレジット払いにしている場合

代金の支払いをクレジット会社を利用した分割払いにしている場合には、クレジット会社に対して契約解除通知を発送する必要があります。

なお、訪問販売や電話勧誘販売におけるクレジット会社との契約をクーリングオフ(契約解除)する方法についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 訪問販売等でクレジット契約をクーリングオフ(解約)する方法


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