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モニター商法・内職商法など業務提供誘因販売取引の要件と具体例

悪質商法の中には、商品を販売する目的を隠しつつ求人広告を公開し、その求人広告に応募ししてきた人に「この仕事をしたいならこの商品を購入することが前提となります」といって無理やり商品を売りつけるというようなものがあります。

このような商法は、その求人の仕方によって「モニター商法」とか「内職商法(在宅ワーク商法」、「求人広告商法」などと様々な呼び方をされることが多いですが、法律的には「業務提供誘因販売取引」という悪質商法の一つとして規制の対象とされています(特定商取引法第51条~)。

【特定商取引法第51条】

第1項 (省略)「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(省略)の事業であって、その販売の目的物たる物品(省略)又はその提供される役務を利用する業務(省略)に従事することにより得られる利益を収受し得ることをもって相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう(省略))を伴うその商品の販売若しくはそのあっせん又はその役務の提供若しくはそのあっせんに係る取引(省略)をするものをいう。
第2項 この章において「取引料」とは、取引料、登録料、保証金その他いかなる名義をもってするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

もっとも、この「モニター商法」や「内職商法(在宅ワーク商法)」、「求人広告商法」などに代表される「業務提供誘因販売取引」は、その態様が様々であるためどのような行為が「業務提供誘因販売取引」として特定商取引上の制限を受けるのか、いまいち分かり難いのではないかと思います。

そこで今回は、このような「モニター商法」や「内職商法(在宅ワーク商法)」、「求人広告商法」といった「業務提供誘因販売取引」には具体的にどのようなものがあるのか、その具体例と「業務提供誘因販売取引」が適用されるための要件について考えてみることにいたしましょう。

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「業務提供誘因販売取引」の具体例

前述したように「モニター商法」や「内職商法(在宅ワーク商法)」、「求人広告商法」といった悪質商法は特定商取引法第51条以下で「業務提供誘因販売取引」と規定されて規制の対象となっていますが、その態様は様々です。

具体的にどのような商法が特定商取引法第51条以下に規定される「業務提供誘因販売取引」に該当するかはケースバイケースで考えるしかありませんが、一般的には次のようなものが「業務提供誘因販売取引」としてあげられるでしょう。

モニター商法”の具体例

・「〇十万円の健康布団を購入すれば健康布団のモニター会員になれる。モニター会員になれば布団を使用した感想を毎月アンケートに答えるだけで毎月〇万円の報酬(モニター料)がもらえるのでローン代金の〇万円を差し引いても毎月〇万円の利益が出る」といって高額な布団を購入させられた事例

”内職商法(在宅ワーク商法)”の具体例

・「試験に合格すれば毎月〇万円は稼げるだけの仕事を紹介するので自宅にいながらに仕事ができるようになる」と試験用の高額な教材等を購入させられる事例。

・「誰でも簡単にできる」のうたい文句で内職の仕事に応募したが「内職(在宅ワーク)の紹介には登録料(又は保証料・手数料など)が必要」と言われ高額な登録料(又は保証料・手数料など)を支払った、という事例。

”求人広告商法”の具体例

・ファッションモデルのオーディションに応募したところ「うちでモデルの仕事をするなら撮影時の服は買取になる」といわれ高額な洋服を購入させられる事例。

・アイドルのオーディションに応募したところ「うちの事務所で仕事をするなら登録料(又は保証料・手数料など)が必要になる」と言われ高額な登録料(又は保証料・手数料など)を請求される事例

・着物販売の求人に応募したところ「展示会場では着物を着用して接客してもらわなければならないが一度着た着物は商品にならないので買取になる。1着〇十万円するが毎月〇万円の収入が見込めるので十分ローンの返済ができる」と言われ高額な着物をローンで購入させられる事例。

「業務提供誘因販売取引」に該当するための要件

前述したような具体例が「モニター商法」や「内職商法(在宅ワーク商法)」、「求人広告商法」といった特定商取引法第51条以下に規定される「業務提供誘因販売取引」となりますが、要件としては

① 「業務を提供する」あるいは「業務をあっせんする」といって誘引していること」

② 「購入した商品(又は登録料等)が業務のために必要である(と説明している)こと」

の2つを有していることが必要となります。

そのため、この①と②の要件をどちらも備えている場合には、その取引は全て「業務提供誘因販売取引」として特定商取引法第51条以下の規定で規制されると考えて問題ないでしょう。

なので、例えば「仕事を紹介する」とか「社員・バイト・パート募集」という誘い文句があるならば全て①の要件は満たすことになりますし、そのうえで「商品を購入しないと仕事を照会できない」とか「登録料を払わないと仕事を紹介できない」と言われるような求人(または内職などの仕事のあっせん)であれば②の要件を満たすことになりますから、そのような態様で商品を購入させられたり登録料を請求されたというのであれば、それは「業務提供誘因販売取引」として特定商取引法第51条以下の規制が及ぶと考えて問題ないと思います。

業務提供誘引販売取引に遭った場合の具体的な対処法

なお、上記のような業務提供誘引販売取引の被害に遭った場合の具体的な対処方法はこちらのページを参考にしてください。

▶ 求人広告商法等の場合 → 仕事紹介の条件として購入させられた商品の契約を解除する方法

▶ 内職商法などの場合 → 求人・内職に応募して登録料を取られた場合に契約を解除する方法

▶ モニター商法の場合 → モニター商法における商品の購入契約をクーリングオフする方法