訪問販売の契約書に必ず記載されていなければならない事項とは?


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訪問販売で商品やサービス(工事等)を販売する業者は、契約書(又は申込書)を作成してその控えを購入者(消費者)に交付することが法律で義務付けられています(特定商取引法第4条、同第5条)。

これは、訪問販売が購入者(消費者)に対していわば「不意打ち的」に商品やサービス(工事等)の購入を迫るものであることから、契約書(又は申込書)その他の申込書を購入者に交付することで、購入者がその契約の内容を客観的に精査できるようにし、購入者側でクーリングオフ(契約解除)などの権利を行使するかどうかを冷静に判断できるようにする必要があるからです。

当然、その交付される契約書は消費者が契約の内容を把握できることが必要となりますから、法律でその契約書に記載すべき事項が具体的に定められています。

この点、これを逆に考えると、法律で定められている事項が記載されていない契約書(又は申込書)しか交付しない業者は「法律を守っていない怪しい業者」ということが推定されますから、法律でどのような記載事項が列挙されているかということを知っておくことは、悪質な業者から身を守る一つの予備知識として重要です。

そこで今回は、訪問販売で商品やサービス(工事等)を購入する契約を結んだ際に業者から交付される契約書(又は申込書)にはどのような事項が記載されていなければならないか、という点について考えてみることにいたしましょう。

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訪問販売の契約書又は申込書に記載されていなければならない事項

① 商品・権利・役務の種類

訪問販売における契約書(又は申込書)にはその商品(又は権利・役務)の種類が記載されていなければなりません。

たとえば”下着”という”商品”の訪問販売なら「下着」などと、”エステティックサロン”を利用できるという”権利”の訪問販売なら「エステティックサロンの利用」などと、”利用”シロアリ駆除”という”役務(サービス)”の訪問販売なら「シロアリ駆除」などと、具体的に記載されていなければなりませんので、そのような具体的な種類の記載がなされていない契約書しか交付しない業者は「法律を守っていない怪しい業者」ということが推定できます。

そのため、もしも訪問販売で交付された契約書や申込書の控えに商品・権利・役務の種類が記載されていないようであれば、すぐにクーリングオフや契約の取消を行うことを考えた方が良いかもしれません。

② 商品・権利・役務の価格(代金・費用)

訪問販売における契約書(又は申込書)にはその商品・権利・役務の価格(代金・費用)も記載されていなければなりません。

例えば、「下着」の訪問販売ならその下着が消費税込みで”いくら”になるのか、「住宅ロフォーム工事」という”役務”の勧誘なら、その工事が具体的に”いくら”になるのかといった「価格(代金・費用)」が具体的に記載されていなければなりません。

そのため、このような価格(代金・費用)が記載されていない契約書(又は申込書)しか交付しない業者も「怪しい業者」と考えられますから、そのような業者と契約してしまった場合にはすぐにクーリングオフなどを考えるべきではないかと思います。

③ 商品・権利・役務の代金(対価)の支払時期および支払方法

訪問販売における契約書(又は申込書)にはその商品等の代金の「支払い時期」と「支払方法」が記載されていなければなりません。

代金をいつまでに支払わなければならないかという「支払時期」と、その代金をどのような方法で支払うのか(銀行振り込みなのかカード払いなのか自宅への集金なのかなど)という点は購入者にとって最も重要な事項の一つだからです。

そのため、そのため、このような代金や費用の「支払時期」と「支払方法」が記載されていない契約書(又は申込書)しか交付しない業者も「怪しい業者」と考えられますから、そのような業者と契約してしまった場合にはすぐにクーリングオフなどを考えるべきではないかと思います。

④ 商品の引渡時期、権利の移転時期、役務の提供時期

訪問販売における契約書(又は申込書)には、販売の目的物が”商品”である場合にはその「引き渡し時期」を、販売の目的物が”権利”の場合にはその「権利の移転時期」を、販売の目的物が”役務”である場合にはその「役務の提供時期」が具体的に記載されていなければなりません。

例えば、販売の目的物が”商品”である場合にはその商品を具体的にいつ受け取ることができるのかという「引き渡し時期」が、販売の目的物が”権利(例えばエステティックサロンを利用できる権利など)”の場合にはその権利をいつから行使できるのかという(例えばエステの場合はいつからエステを利用できるのかという具体的に日付)その権利の「移転時期」が、販売の目的物が”役務(例えば住宅のリフォーム工事など)の場合にはその役務がいつから提供されるのか(例えば十だ区のリフォーム工事などの場合は具体的にいつから工事が始まるのかというその日付)というその役務の「提供時期」がそれぞれ記載されている必要があります。

そのため、そのため、このような「商品の引渡時期」「権利の移転時期」「役務の提供時期」が具体的に記載されていない契約書(又は申込書)しか交付しない業者も「怪しい業者」と推定できますので、そのような業者と契約してしまった場合にもすぐにクーリングオフなどを考えるべきではないかと思います。

⑤ クーリングオフ(契約の解除)に関する事項

訪問販売における契約書(又は申込書)にはクーリングオフ(契約の解除)に関する事項が記載されていなければなりません。

訪問販売で商品やサービス(権利・役務)を購入した場合にはその契約書(又は申込書)の控えを受領してから8日が経過するまでの間であれば無条件に一方的に契約を解除することができます(これをクーリングオフといいます)が、そのようなクーリングオフ(契約の解除)が可能であることが契約書(申込書)に記載されていないと購入者はその契約がクーリングオフ(契約の解除)できるものなのか分かりませんので、具体的に契約書(又は申込書)にクーリングオフ(契約の解除)の事項を記載しておくこととしているのです。

そのため、訪問販売で交付された契約書(又は申込書)の控えにクーリングオフ(契約の解除)の事項が記載されていないような場合には、その業者は「怪しい業者」ということが推定できますから、そのような業者との契約はすぐに解除(クーリングオフ)した方が良いかもしれません。

なお、クーリングオフに関する事項は「赤枠の中に赤字で」記載してあることが法律で義務付けられていますので(特定商取引法施行規則第6条第6項)、たとえ契約書(又は申込書)の控えにクーリングオフに関する事項が記載されていたとしてもその文章が「赤枠の中に赤字で」記載されていない場合には、その業者との取引も考え直した方がよいでしょう。

⑥ 業者の氏名(名称)、住所、電話番号、業者が法人(会社)である場合は代表者の氏名

訪問販売における契約書(又は申込書)には、その訪問販売業者の氏名(名称)とその住所、電話番号、業者が法人(会社)の場合にはその代表者の氏名が記載されていなければなりません。

たとえば、訪問販売業者が「悪徳リフォームサービス」という名称で住宅リフォームの販売を行う工務店である場合には「悪徳リフォームサービス」という名称と、その「悪徳リフォームサービス」の事業所の所在地(住所)と、「悪徳リフォームサービス」という事業所の電話番号が記載されていなければなりません。

またその「悪徳リフォームサービス」という販売業者が株式会社や有限会社など法人(会社)である場合には、その「悪徳リフォームサービス」という会社の代表者(代表取締役)の氏名が記載されていなければならないことになります。

そのため、訪問販売で受け取った契約書(又は申込書)にこれら「業者の氏名(名称)」「住所」「電話番号」「業者の代表者」の記載がない場合はその業者は悪質業者であると考えられますのでその契約はすぐにクーリングオフする方が良いと思われます。

なお、悪質な業者の中には”有りそうで無い住所”などを記載する場合がありますので(例えば福岡県博多区とか大阪市北淀川区など)そのような表示に惑わされないよう注意することも必要かもしれません(※たとえば契約書に記載されている業者名や住所などをインターネットで検索を掛けるなど)。

⑦ 訪問販売を行った担当者の氏名

訪問販売における契約書(又は申込書)には、その契約(又は申し込み)を行った訪問販売員の氏名も記載されていなければなりません。

これは、訪問販売という取引の性質上、その契約がなされたときの状況は購入者とその担当者しか知り得ないことになるため、具体的に”誰”が担当したのか(誰が訪問販売を行ったのか)ということが明確でなければならないからです。

そのため、訪問販売で受け取った契約書(又は申込書)の控えにその担当者の氏名が記載されていないような場合には、その業者は「法律に違反する怪しい会社」ということができますので、その業者との契約は早急にクーリングオフなどを利用して解除するほうがよいかもしれません。

なお、法律上は担当者の「氏名」と明確に規定されていますので、担当者の印鑑(シャチハタ)などが押してあるだけであったり、担当者の”苗字”だけしか記載されていない契約書(又は申込書)もこの要件を満たしていないことになりますので注意して確認するようにしましょう。

⑧ 契約の申込み日または契約日

訪問販売における契約書(又は申込書)にはその契約を申し込んだ日(申込日)または契約をした日(契約日)の記載がなされていなければなりません。

そのため、そのような申込日や契約日の記載がない契約書(又は申込書)の控えしか交付されない場合には、その業者との取引は考え直した方が良いでしょう。

⑨ 商品名及び商品の商標又は製造者名

訪問販売が特定の商品の販売に関するものである場合には、その契約書(又は申込書)にはその商品の「商品名」と「商品の商標」または「製造者名」が記載されていなければなりません。

また例えばダイソンの掃除機を訪問販売しているような場合に「ダイソン」の「Dyson V8 Absolute Extra」という商標(商品名)があるにもかかわらず契約書の”商品名”の欄に単に「掃除機」としか記載していないような場合は法律に違反していることになります。

悪質な業者の中には、例えば下着の販売で契約書の商品名の欄に単に「下着1セット」などと記載されていたり、商標や製造者名の記載そのものがないようなものも散見されますので訪問販売で商品を購入した場合はこの「商品名」と「商品の商標」または「製造者名」の記載がキチンとなされているかという点を良くチェックしてみる必要があります。

もしも受領した契約書(又は申込書)に「商品名」と「商品の商標」または「製造者名」が記載されていないようであれば、その業者は法律を守っていない悪質業者ということができますので、そのような業者との契約は早急にクーリングオフ(契約解除)することを考えるべきでしょう。

⑩ 商品に型式があるときは、当該型式

また、訪問販売における契約書(又は申込書)には商品伊型式がある場合にはその”型式”も記載されていることが必要です。

商品の型式は、その商品を識別するために重要な情報となることから記載が義務付けられているものです。

そのため、たとえば訪問販売で購入した商品に”型式”や”製造ナンバー”の刻印が記されているにもかかわらず、その番号が契約書や申込書に記載されていない場合には、その業者は法律に違反していることになります。

訪問販売で商品を購入した場合は、商品の”取扱説明書”や商品の”裏”や”下”などを確認して「型式」がないかチェックし、型式がある場合にはそれが契約書(又は申込書)にキチンと記載されているか確認してみることが必要でしょう。

⑪ 商品の数量

訪問販売における契約書(又は申込書)には購入した数量が記載されていなければなりません。

この数量は具体的に記載しておく必要がありますので、たとえば下着セットの販売であれば「ブラジャー2着、パンティー2着、ガーターベルト1着」などと具体的に記載されている必要があり、「下着2セット」といったような表現で記載するのは法律違反となります。

また、化粧品などの場合も「ファンデーション〇g」「口紅〇本(〇g)」「化粧水〇ml」などと具体的に表示されている必要があり「メイク道具一式」とか「化粧品1セット」などと記載されている契約書(又は申込書)は法令を遵守していない違法なものとなります。

そのため、訪問販売で契約書(又は申込書)を受け取った場合はこのように商品の数量について個別具体的に記載がなされているかよくチェックしてみる必要があるでしょう。

もし仮に受け取った契約書(又は申込書)にそのような具体的な表示がない場合には、その業者との契約は早急にクーリングオフ(契約解除)する方が良いかもしれません。

⑫ 商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容

「商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任」とは、購入した商品等に購入者が当初知り得なかったような不具合(品質上の問題等)がある場合に、購入者が解約の解除や損害賠償をすることができるという瑕疵担保責任の制度のことをいい民法570条に規定されています(民法570条)。

この民法の瑕疵担保責任の追及は、商品の購入者がその瑕疵を知った時から1年を経過するまでにしなければならないというのが原則的な取り扱いですが、特約でこの1年という期間を短縮することが認められていますので、業者がこの瑕疵担保責任の期間を短縮する特約を設ける場合には、その特約を契約書(又は申込書)に記載しておく必要があります。

もっとも、この瑕疵担保責任を全て免除することは法律上認められていませんので(消費者契約法第8条)、もしも瑕疵担保責任を全部排除するような特約がある場合には、そのサイトは法令を遵守していない業者の運営サイトであるということが言えるでしょう。

⑬ 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容

「契約の解除に関する定め」とはクーリングオフ期間が経過した後に契約を解除する場合に関する特約などをいいます。

たとえば、購入した商品やサービス(工事等)が契約で約束したものに満たない不十分なものであるような場合には業者側の債務不履行となって民法541条に基づいて契約を解除することが可能ですが、このような契約の解除について特約を設ける場合にはその特約が契約書(又は申込書)に記載されている必要があります。

ただし、「消費者からの契約解除ができない旨定められていないこと」や「業者側の責に帰すべき事由により契約が解除された場合における業者側の義務に関し、民法の規定より購入者側に不利な内容が定められていないこと」が必要となります。

⑭ 他に特約があるときは、その内容

上記の他、特約がある場合は全てその特約が契約書(又は申込書)に記載されている必要があります。

そのため、業者側がある特定の「特約がある」と主張しているのに、その特約が契約書(又は申込書)に記載されていないような場合は、その業者は法律に違反する悪質な業者ということが推定できます。

契約書(又は申込書)を交付しない、又は書面に不備がある業者に対して行政処分を与えたい場合

業者が契約書(又は申込書)を交付しなかったり、上記で解説した法定の記載事項が記載されていない書面しか交付しない場合には主務大臣(又は地方経済産業局長・都道府県知事)に業者に対して行政処分を出すよう申し出ることが可能です。

業者との間で契約上のトラブルが発生しているような場合において業者が交渉に応じないような場合(クーリングオフに応じなかったり支払い済みの代金の返還を拒んでいるような場合)には、交付した契約書(又は申込書)に不備がある点を理由にして行政機関に行政処分の申立を行うことも考えるべきでしょう。

行政処分の申出によって行政機関が調査や行政処分を行えば、業者がトラブル解決に向けた何らかの提案をしてくることもありますので、行政処分の申出を行うこともトラブル解決手段の一つとして有効な場合があると思います。

なお、契約書(又は申込書)の記載不備に関する主務大臣等への違法行為の申出に関する具体的な申出方法や手順、申出書の記載例はこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

▶ 訪問販売等で契約書の記載不備に関する行政処分申出書の記載例


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