高額な違約金や解除料を請求された場合に注意すべきこと


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何らかの商品や工事などの契約において、アフターサービスやサポートを結ばされることが多くあります。

このようなアフターサービスやサポートの契約は通常、数か月から数年の期間を区切って契約が結ばれることが多く、その契約期間の途中で解除した場合に支払うべき違約金や契約解除料が設定されているのが一般的です。

しかし、ここで問題となるのは、その違約金や契約解除料の金額が極端に高額な価格に設定されているような場合です。

悪質な業者の中には、月々のアフターサービスやサポート料が数千円程度なものであっても、契約期間の途中で解約した場合には、違約金(又は契約解除料)として数万円から数十万円程度の金銭の請求を行っているところもあるようですので、そのような高額な請求を受けた場合にはどのような対処をとればよいか、事前に考えておくことも必要でしょう。

そこで今回は、高額な違約金や契約解除料を請求された場合には、具体的にどのような対処をすればよいのか、といった点ついて考えてみることにいたしましょう。

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高額な違約金や契約解除料の請求は法律的に有効か?

高額な違約金や契約解除料を請求された場合の対処法を考える前に、そもそもそのような高額な違約金や契約解除料が法律的に有効といえるのか、といった点について考えなければなりません。

なぜなら、高額な違約金や契約解除料を請求することがそもそも法律的にNGであるならば、業者の請求を無視してしまえば済む話だからです。

この点、違約金や契約解除料(解約料)の上限を規定した法律は存在しませんが、違約金や契約解除料(解約料)など、契約の内容となっている消費者が支払うべき損害賠償額の金額を予定する条項の有効性を規定している消費者契約法の第9条が参考になります。

消費者契約法の第9条では、消費者契約を消費者が解除(解約)する場合に支払わなければならない違約金や契約解除料(解約料)については、その契約と同種の契約の解除に伴って事業者に発生する平均的な損害を超える部分については無効になると規定されています。

【消費者契約法第9条】

次の各号に掲げる消費者契約の条項は当該各号に定める部分について、無効とする
 1号 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
 2号(省略)

このように、消費者契約法では、たとえ契約書に「違約金」や「契約解除料(解約料)」の規定や具体的な金額が記載されていたとしても、その金額が「平均的な損害の額」を超えている場合には、その超えている部分については「無効」となると規定されていますので、契約する時点で高額な違約金や契約解除料(解約料)を支払うことに同意していたとしても、実際には「平均的な損害の額」にあたる金額だけを支払えば問題ないということになります。

事業者に発生する「平均的な損害の額」とは?

前述したように、契約書に高額な違約金や契約解除料(解約料)などが記載されており、その条項を承諾して契約書にサインしている場合であっても、違約金や契約解除料(解約料)の金額が、その契約と同種の契約で事業者に発生する「平均的な損害の額」を超える場合には、その超える部分については無効となります。

そのため、消費者は、たとえ事前にその高額な違約金や契約解除料(解約料)を支払わなければならないことを承知のうえで契約していたとしても、その「平均的な損害の額」に相当する金額を支払えば足り、その「平均的な損害の額」を超える部分の損害賠償金を支払う必要はありません。

この点、その契約と同種の契約において事業者に発生する「平均的な損害の額」が具体的にいくらになるかという点が問題となりますが、これはその契約ごとに異なってきますので、このページで一概に説明することはできません。

もっとも、例えば次のような種類の事業の場合には「平均的な損害の額」がある程度明確にされていますので、これらの契約を参考にするとよいのではないかと思います。

(1)旅行業の場合

旅行会社や宿泊施設の契約を解除する場合の違約金や契約解除料(解約料)の「平均的な損害の額」については、国土交通省の出している「標準旅行業約款」に旅行者が契約を取消(解除)した場合に支払うべき取消料の金額が記載されていますので、その金額(割合)が前述した「平均的な損害の額」になると考えて差し支えないものと考えられます。

【標準旅行業約款 第16条第1項】

旅行者は、いつでも別表第一に定める取消料を当社に支払って募集型企画旅行契約を解除することができます。(省略)

(※国土交通省「標準旅行業約款」5頁より引用)

【別表第一 取消料(第16条第1項関係)】

一 国内旅行に係る取消料

区分 取消料
(一) 次項以外の募集型企画旅行契約
イ 旅行開始日の前日から起算してさかのぼって二十日目(日帰り旅行にあっては十日目)に当たる日以降に解除する場合(ロからホまでに掲げる場合を除く。) 旅行代金の20%以内
ロ 旅行開始日の前日から起算してさかのぼって七日目に当たる日以降に解除する場合(ハからホまでに掲げる場合を除く。) 旅行代金の30%以内
ハ 旅行開始日の前日に解除する場合 旅行代金の40%以内
ニ 旅行開始当日に解除する場合(ホに掲げる場合を除く。) 旅行代金の50%以内
ホ 旅行開始後の解除又は無連絡不参加の場合 旅行代金の100%以内

(※国土交通省「標準旅行業約款」11頁より引用)

このように、旅行に関する契約(宿泊施設や旅客運送の契約)では、消費者が契約を取消す時期に従って20%、30%、40%、50%、100%といったように違約金や契約解除料(解約料)の金額が設定されていますので、この別表に記載された取消料の金額が事業者に通常生ずべき「平均的な損害の額」ということになります。

そのため、旅行業等の契約をした際に作成した契約書に、この標準旅行業約款の別表に記載された割合を超える違約金や契約解除料(解約料)の条項が盛り込まれていた場合には、たとえそれを承諾したうえで契約書にサインしていたとしても、契約の取消時に支払わなければならない取消料は、上記の別表に記載された金額まで減額されるものと解されます。

例えば、旅行業者のX社が企画した8月1日から1週間の予定になっている金額が20万円するフランス旅行のプランに応募し、契約書に「出発日より1か月前に契約を取消した場合は取消料として旅行代金の50%を支払う」と記載されているのを承諾の上で契約書にサインして代金の20万円を支払っていたとします。

この場合に、出発日の1か月前である7月1日に契約を取消したとすると、契約上は旅行代金の50%にあたる10万円を取消料として支払う義務がありますので、契約書の条項に従えばそれを差し引いた10万円しか返金されないことになります。

しかし、前述の国土交通省の標準旅行業約款の別表第一では、旅行開始日からさかのぼって20日以降の日に取り消した場合の取消料の上限は「20%」と規定されていますので、このX社が作成した契約書のうち取消料を「50%」としている条項のうち「30%」の部分は、消費者契約法第9条第1項の「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」を超えていることになります。

そのため、その「平均的な損害の額」を超える部分については「無効」と判断されますから、X社は旅行代金20万円の20%にあたる4万円しか取消料として差し引くことがでないことになります。

その結果、この場合にはX社に対して「16万円返金しろ」と請求できるということになります。

(2)携帯電話やPCのネット利用の契約の場合

携帯電話やパソコンのインターネット接続については、前述した旅行業のように「標準旅行業約款」に相当するような約款のひな型が総務省等から公開されていないようなので、契約を途中解約した場合に事業者に発生する「平均的な損害の額」がいくらになるかという目安は判然としません。

このような場合は、自分が契約しているキャリアの提供している契約と同種の契約を提供している同業他社のサービスを類型的に考察して算出される違約金(契約解除料)の平均額が事業者に発生する「平均的な損害の額」になるものと考えられます。

たとえば、スマホなどの通信料の契約は、24か月縛りになっている場合が多いと思われますが、NTTドコモの場合には「9,500~25,600円」ソフトバンクの場合には「0円~9,500円」となっていますので、これらを平均した金額が中途解約した場合に事業者に発生する「平均的な損害の額」になるものと考えられます。

▶ 参考 → ご注意事項 | 料金・割引 | NTTドコモ

▶ 参考 → 解約する際の契約解除料はいくらですか? | モバイル | ソフトバンク

そのため、スマホやパソコン関係の通信料の契約の途中解約をする場合に、このような同業他社の解約料として算出される「平均的な損害の額」を超える違約金や契約解除料(解約料)を請求された場合には、その「平均的な損害の額」を超える金額については無効となり支払う必要がないものと考えられます。

高額な違約金や契約解除料(解約料)を請求された場合の対処法

上記で説明したように、契約を解除(解約)した場合に、その事業者に発生する「平均的な損害の額」を超える違約金や契約解除料(解約料)を請求された場合には、その超える部分の金額については「無効」と判断されますから、業者から請求されたとしても支払う必要はないということになります。

この場合の「無効」と判断される部分については、法律上強硬的に「無効」と判断されることになりますので、たとえあらかじめ「平均的な損害の額」を超える部分を支払うことを承諾して契約書にサインしている場合であっても、その超える部分は無効となります。

そのため、業者から「契約書に書いてあるだろ」とか「契約するときにちゃんと説明してそれを承諾しただろ、だから支払えよ」と言われたとしても、その「平均的な損害の額」を超える部分が無効な事には変わりありませんから、その「平均的な損害の額」を超える部分の契約書の条項は無効となるので、「平均的な損害の額」に該当する部分の違約金や契約解除料(解約料)を支払えばそれで済むことになります。

ですから、何らかの契約を解除する場合に高額な違約金や契約解除料(解約料)を請求された場合には、まずその契約と同種の契約を提供する他社の違約金や契約解除料(解約料)の金額を調べて、業者から請求されている金額が他社の同種の金額と比較して著しく高額になっていないかという点を確認してみることも必要だと思われます。

同種の契約の違約金や契約解除料(解約料)と比較して「平均的な損害の額」を超えていると思われる場合には、その業者は悪質な業者で違法な請求をしていると推定することができますから、そのような場合には業者の請求する金額を支払ったりせずに、弁護士や司法書士に相談して適切な対処をすることも考えるべきでしょう。

なお、業者から高額な違約金や契約解除料(解約料)を請求された場合にその請求を拒否する場合の通知書の記載例についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 高額な違約金や解約料の請求を拒否する旨の通知書

高額な違約金や契約解除料を支払ってしまったら?

前述したとおり、契約の解除(解約)に伴って契約解除料(違約金)を支払わなければならない場合であっても、同種の契約の違約金や契約解除料(解約料)と比較して「平均的な損害の額」を超える部分については無効と判断されます。

そのため、仮に業者に請求されるまま高額な違約金や契約解除料(解約料)を支払ってしまったとしても、その支払った契約解除料(違約金)のうち「平均的な損害の額」を超える部分については業者は法律上の原因がないのに受け取ったという「不当利得」になりますから、その「平均的な損害の額」を超える部分について業者に対し「返還しろ」と請求できることになります(民法703条)。

【民法第703条】

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(省略)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

なお、業者に請求されるがままに高額な違約金や契約解除料(解約料)を支払ってしまった場合に、その支払った金額のうちその業者に通常生ずべき「平均的な損害の額」を超える部分について返還を求める場合の通知書の記載例についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 高額な違約金や解約料の返還を請求する通知書の記載例


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