消耗品を一部開封した場合、未使用部分はクーリングオフできる?

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訪問販売による勧誘よって商品を購入した場合、その契約に関する契約書(または申込書)を受領してから8日が経過するまでの間であれば、購入者(消費者)の方から無条件に一方的にその契約を解除(クーリングオフ)することが可能です。

▶ 詳細はこちら→訪問販売・電話勧誘販売による契約をクーリングオフする方法

しかし、その購入した商品が健康食品や化粧品などの”消耗品”で、かつ、その全部又は一部を使用してしまった場合には話が異なります。

健康食品や化粧品などの消耗品については、契約書で「この契約によって購入した商品を使用してしまった場合にはクーリングオフ期間内であってもクーリングオフすることができなくなります」などと記載することで使用した商品についてのクーリングオフ(契約解除)を制限することが認められているからです。

▶ 詳細はこちら→健康食品や化粧品などの消耗品はクーリングオフできない?

仮に契約書にこのような表示がなされている商品を使用してしまった場合にはその商品をクーリングオフ(契約解除)することができなくなってしまいます。

もっとも、このような場合でも、使用したすべての商品のクーリングオフ(契約解除)が制限されるわけではありません。

契約書に「この契約によって購入した商品を使用してしまった場合にはクーリングオフ期間内であってもクーリングオフすることができなくなります」などと記載されている消耗品を使用してしまった場合でも、クーリングオフできないのはその使用した商品の「通常販売されている商品の最小単位」が基準となりますので、その通常販売されている商品の最小単位に含まれない部分についてはたとえそのようなクーリングオフを制限する規定があったとしてもクーリングオフができると考えられるからです。

そこで今回は、訪問販売の契約でクーリングオフが制限されている消耗品を購入し、その消耗品の一部を使用してしまった場合に、使用していない部分はどの範囲でクーリングオフ(契約解除)することができるのか、という点について考えてみることにいたしましょう。

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消耗品を使用してしまっても、クーリングオフが制限されるのは「通常販売されている商品の最小単位」の部分に限られる

前述したように、訪問販売で化粧品や健康食品などのいわゆる”消耗品”を購入した場合において、その契約書に「この契約によって購入した商品を使用してしまった場合にはクーリングオフ期間内であってもクーリングオフすることができなくなります」などと記載されている場合には、その使用した消耗品をクーリングオフ(契約解除)することができなくなります。

▶ 詳細はこちら→健康食品や化粧品などの消耗品はクーリングオフできない?

ただし、この消耗品のクーリングオフの制限が認められる範囲は、あくまでもその消耗品の「通常販売されている商品の最小単位」が基準となります(平成18年1月30日経済産業省通達14ページ第2章第1節6(1)(ハ)②)。

 「使用又は消費」によりクーリング・オフができなくなる商品の範囲は、商品ごとに個々具体的に判断せざるを得ないが、一般的には当該商品について通常販売されている商品の最小単位が基準となる。
 具体的には、通常販売されている最小単位の商品がいくつかセットで販売される場合において、そのうちの一部を使用又は消費したときは、当該「使用又は消費」に係る最小単位部分についてはクーリング・オフができなくなるが、それ以外の部分についてはクーリング・オフを行うことができる。

※平成18年1月30日経済産業省通達第2章第1節6(1)(ハ)②(※14ページ)より引用。

訪問販売では多くの場合、健康食品や化粧品などの”消耗品”については1個ごとのバラ売りではなく”1箱”や”1ケース”、”1セット”など多数量で販売されることが多くみられますが、このような場合に、そのうちの1個を開封したり使用してしまったためにそれ以外の部分も全てクーリングオフできないとしてしまっては消費者の保護に欠けることになります。

そのため、たとえ契約書に「この契約によって購入した商品を使用してしまった場合にはクーリングオフ期間内であってもクーリングオフすることができなくなります」などと記載され消耗品のクーリングオフが制限されている場合であっても、その制限が適用されるのはその消耗品の「通常販売されている商品の最小単位」に限定されると考えられているのです。

「通常販売されている商品の最小単位」とは?

この消耗品のクーリングオフが制限される「通常販売されている商品の最小単位」が具体的にどの程度の数量になるかは個々の商品によって異なるためこのページで明確に説明することは難しいですが概ね次のような分量が「通常販売されている商品の最小単位」ではないかと考えられます。

① 化粧品等

化粧品については、デパートなどでもバラ売りで販売されているのが通常と考えられますので、化粧品1個(1本)が「通常販売されている商品の最小単位」になると考えて問題ないでしょう。

たとえば、訪問販売でネイルセットを1セット(1セット10本入り)を購入し、契約書に「使用した場合はクーリングオフできない」と記載されている場合、そのうちの1本使用した後にクーリングオフする場合は残りの9本をクーリングオフ(契約解除)することができるということになるでしょう。

② 健康食品等

健康食品などについては、一定の数量の商品を小箱に分けて包装して販売しているのが一般的ですので、その小箱1箱が「通常販売されている商品の最小単位」になるのではないかと考えられます。

たとえば、商品10個が1つの小箱に包装されて販売されている健康食品で、その小箱10箱を更に1つの大箱に包装して販売している訪問販売業者からその大箱1箱を購入し、契約書に「使用した場合はクーリングオフできない」と記載されているにもかかわらず、その大箱を開封してさらにその中の1つの小箱を開封しその小箱の中の1個の健康食品を使用した場合には、開封した小箱1箱分(商品10個分)以外の小箱9箱分(商品90個分)についてはクーリングオフによって契約を解除することができると考えられます。

(※特定商取引法の理論と実務/補訂版(圓山茂夫著:民事法研究会)200頁参照)

【健康食品とコンドームの”最小包装単位”について】

なお、この健康食品等の商品における最小包装単位は、家庭訪販振興協会の尚早企画基準によれば、コンドームについては「36個以下」、健康食品については「1人で3か月間に消費する量以下」というのが一般的な目安とされているようです。

(訪問販売協会事例集73頁※特定商取引法の理論と実務/補訂版(圓山茂夫著:民事法研究会)200頁参照)

この目安に従えば、例えばコンドームが1箱40個入りの小箱10箱を購入しコンドームを1個使用した場合では、開封していない小箱9箱と開封した小箱のうち36個を超える4個分のコンドームのクーリングオフができるというような考えも成り立ちます。

③ その他の商品

訪問販売で代表的な化粧品や健康食品については上記のとおりですが、その他の商品の場合も上記の①や②と同じように考えてよいと思います。

例えばパンティーとブラジャーが1セットとなっている”下着セット”を訪問販売で5セット購入した場合であれば、下着は1着ずつのバラ売りで販売されているのが通常ですから、たとえ契約書に「一度着用(開封)した場合クーリングオフできません」と記載されている場合であっても、①と同じように考えて、1セットのうちパンティーだけを着用(開封)したのであれば、その1セットのうち着用していないブラジャーと残りの4セットは全てクーリングオフできるということになるでしょう。


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