健康食品や化粧品などの消耗品はクーリングオフできない?


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訪問販売(点検商法なども含む)や電話による勧誘販売で商品を購入した場合、業者から契約書を受領してから8日が経過するまでの間であればクーリング通知書を送付することによって契約を解除(解約)をすることが可能です。

このクーリングオフの制度は、訪問販売や電話勧誘販売がいわば「不意打ち的」に商品等を購入させる商法であるため、冷静な判断状態で購入を決断することができなかった消費者を保護する必要があるため設けられたものと考えられています。

しかし、だからといって、訪問販売や電話勧誘販売の取引であれば全ての場合にクーリングオフが認められるかというとそうではありません。

訪問販売や電話勧誘販売で購入した商品であっても、その商品が化粧品や健康食品などの消耗品等である場合で、かつ、その商品を消費してしまっているときは、クーリングオフによる契約の解除が制限される場合があるのです。

そこで今回は、どのような消耗品を購入した場合に、どのような形で消費してしまうとクーリングオフが制限されてしまうのか、という点について考えてみることにいたしましょう。

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クーリングオフが制限される消耗品等とは?

前述したように、訪問販売や電話勧誘販売であっても、その購入した商品が消耗品など使用すれば価値がなくなったり、著しくその価値が現存してしまうような物である場合で、かつ、その購入した商品を使用し又は一部を消費してしまった場合にはクーリングオフできなくなるのが原則的な取り扱いです(特定商取引法第26条)。

【特定商取引法第26条】

第1項~3項 (省略)
第4項 第9条及び第24条の規定は、訪問販売又は電話勧誘販売に該当する販売又は役務の提供が次の場合に該当する場合における当該販売又は役務の提供については、適用しない。
1号 第9条第1項に規定する申込者等又は第24条第1項に規定する申込者等が第4条若しくは第5条又は第18条若しくは第19条の書面を受領した場合において、その使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該販売業者が当該申込者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
2号 第9条第1項に規定する申込者等又は第24条第1項に規定する申込者等が第4条若しくは第5条又は第18条若しくは第19条の書面を受領した場合において、相当の期間品質を保持することが難しく、品質の低下により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを引き渡されたとき。
3号 第5条第2項又は第19条第2項に規定する場合において、当該売買契約に係る商品若しくは指定権利の代金又は当該役務提供契約に係る役務の対価の総額が政令で定める金額に満たないとき。

そして、このクーリングオフが制限されることのある消耗品等の具体的な種類については、特定商取引法施行令の”別表第三”に列記されています(特定商取引法施行令第6条の4)。

【特定商取引法施行令第6条の4】

法第26条第4項第1号の政令で定める商品は、別表第三に掲げる商品とする。

【別表第三(第六条の四関係) 】

1号 動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る。)であつて、人が摂取するもの(医薬品(省略)を除く。)
2号 不織布及び幅が13センチメートル以上の織物
3号 コンドーム及び生理用品
4号 防虫剤、殺虫剤、防臭剤及び脱臭剤(医薬品を除く。)
5号 化粧品、毛髪用剤及び石けん(医薬品を除く。)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つや出し剤、ワックス、靴クリーム並びに歯ブラシ
6号 履物
7号 壁紙
8号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第31条に規定する配置販売業者が配置した医薬品(薬事法の一部を改正する法律(平成18年法律第69号)附則第十条に規定する既存配置販売業者が配置したものを含む。)

この中でも特に販売事例が多いのが健康食品と化粧品で、コンドームなどの販売に関するトラブルも多くあるようです。

このような消耗品については、訪問販売や電話勧誘販売で商品を購入した場合であっても、使用又は一部を消費してしまった場合には、原則としてクーリングオフができないことになっています。

契約書に「使用した場合はクーリングオフできません」などと明確に記載されていない場合はクーリングオフできる

前述したように、健康食品や化粧品、コンドームなどといった”消耗品”は、いったん使用(又は一部を消費)してしまうと、たとえ購入したのが訪問販売や電話勧誘販売による取引であったとしても、クーリングオフによって契約を解除することができないのが原則です。

このような消耗品は、いったん使用してしまうと価値が著しく減少してしまうため、返品になじまないからです。

しかし、このようにクーリングオフが制限されるのは、あくまでも契約書に「使用した場合はクーリングオフできません」などとクーリングオフの制限に関する規定が明確に記載されている場合に限られます。

契約書に「この化粧品を使用した場合はクーリングオフできなくなります」などと明確に記載がなされていない場合は、他の商品と同じようにクーリングオフによって契約を解除することが可能です。

訪問販売や電話勧誘販売におけるクーリングオフは「不意打ち的」に商品を購入してしまった消費者を保護するものであるため、その大事な権利であるクーリングオフを制限する場合には、契約書にあらかじめ記載して消費者側の承諾を得ておかなければならないものとしているのです。

そのため、仮に訪問販売や電話勧誘販売で購入した健康食品や化粧品等の消耗品を一部(又は全部)使ってしまった後であっても、契約書に「この商品を使用した場合はクーリングオフできません」などと記載がされていないようであれば、クーリングオフ通知書を送付して契約を解除することが可能となります。

業者の指示や勧めで開封したり使用した場合は消耗品でもクーリングオフできる

前述したように、健康食品や化粧品など法律で指定された消耗品については、契約書に「使用した場合はクーリングオフできません」などと記載されている場合には、たとえ購入したのが訪問販売や電話勧誘販売による取引であったとしてもクーリングオフによって契約を解除することはできません。

しかし、このような場合にクーリングオフが制限されるのは、あくまでも「自分の意思で開封・使用した場合」に限られており、業者の販売員が使用・消費させた場合は原則どおりクーリングオフが可能です(特定商取引法第26条4項1号カッコ書き)。

たとえば、業者からの勧めや指示で商品を開封したり、商品を使用してしまった場合には、たとえ契約書に「開封・使用するとクーリングオフできません」などと記載されていたとしてもクーリングオフによって契約を解除することができるのです。

悪質な業者によっては、消費者の無知に付け込んで「試しに使ってみませんか?」とか「説明のために1つ開けてもらえませんか?」とか「使用した感想をレビューで投稿すると割引になりますよ」などと言って販売する際に開封させたり使用させたりする事例もあるようですが、このように業者が開封・使用を誘導した事実がある場合にも「業者が使用・消費させた」と考えることができますので、原則どおりクーリングオフができると考えられます

業者の勧めで消耗品を開封・使用してしまうなど将来のクーリングオフを妨げる行為があった場合の行政機関への告発方法

なお、このようにクーリングオフを妨害するような行為は法律で禁止されていますので(特定商取引法第6条1項5号、同第21条1項5号)このような態様で消耗品を開封させたり使用させたりしたする業者の被害にあった場合には、主務大臣(または地域経済産業局長、都道府県知事)に違法行為の申出を行うことも可能です(特定商取引法第60条)。

特定商取引法第60条に基づく主務大臣等への違法行為の申出に関する申出書の記載方法についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 消耗品のクーリングオフ妨害行為に関する申出書の記載例


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