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夜中や早朝に訪問・電話する業者への行政処分申出書の記載例

このページでは、夜中や早朝(※具体的には「午後9時から午前8時まで」の時間帯)に訪問販売や電話による勧誘を受けたりクーリングオフを撤回するよう説得された場合に、「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘やクーリングオフ妨害を理由として、監督官庁に違法行為の申出(告発・申告)を行う場合の申出書の記載例を公開しています。

※なお、「午後9時から午前8時まで」の時間帯に訪問や電話することが何故「迷惑を覚えさせる仕方」にあたるかという点やそれがどの法律に違反するのかといった点についてはこちらのページを参考にしてください。

訪問販売等の業者の「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘の具体例

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なお、この記載例(雛型)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものであり、仮にこの記載例を使用したことにより損害が発生した場合であっても当サイトの管理人は一切責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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「午後9時~午前8時」の時間帯に訪問又は電話を受けた場合に「迷惑を覚えさせる仕方」で勧誘(又はクーリングオフの妨害)を受けたことを理由として違法行為の申出をする場合の申出書の記載例

(1)訪問販売の場合


申出書

平成〇年〇月○日

東京都知事 殿 ← ※”消費者庁長官”や”地方経済産業局長”でもよい

氏名 川佐連麻衣  ㊞          
 住所 東京都八王子市〇〇1丁目-〇 〇号室
 電話番号 080-****-****       

 下記のとおり、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害される恐れがありますので、適当な措置を取られるよう、特定商取引に関する法律第60条に基づき、申し出ます。

1.申出に係る事業者

 所在地:東京都江東区〇〇1丁目 〇番〇号 〇〇ビル〇F
 名 称:株式会社ナイトアンドモーニング販売(以下、「事業者」という)

2.申出に係る取引の態様

 訪問販売

3.申出の趣旨

 申出人は○月上旬、自宅マンションにおいて、事業者の販売担当者(以下「販売員」という)から訪問販売の態様により羽毛布団の勧誘を受けたが、この訪問を受けた時刻はすでに午後9時を過ぎていた。
 しかしながら、特定商取引法第7条第4号及び同法施行規則第7条第1号で「迷惑を覚えさせる仕方」で勧誘をすることが禁止されているところ、経済産業省の通達(「特定商取引に関する法律等の施行について」平成25年2月20日)によれば、午後9時から午前8時までの時間帯に勧誘を行うことは「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘に該当すると解釈されるから、このような事業者の勧誘行為は法律に違反する違法なものであるといえる。
 以上のような状況であるため、事業者による同様の被害が拡大しないよう貴庁においてしかるべく対応されたい。

4.その他参考となる事項

特になし

以上


(2)電話勧誘の場合


申出書

平成〇年〇月○日

東京都知事 殿 ← ※”消費者庁長官”や”地方経済産業局長”でもよい

氏名 川佐連麻衣  ㊞          
 住所 東京都八王子市〇〇1丁目-〇 〇号室
 電話番号 080-****-****       

 下記のとおり、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害される恐れがありますので、適当な措置を取られるよう、特定商取引に関する法律第60条に基づき、申し出ます。

1.申出に係る事業者

 所在地:東京都江東区〇〇1丁目 〇番〇号 〇〇ビル〇F
 名 称:株式会社ナイトアンドモーニング販売(以下、「事業者」という)

2.申出に係る取引の態様

 電話勧誘販売

3.申出の趣旨

 申出人は○月上旬、事業者の販売担当者(以下「販売員」という)から電話による健康食品の購入に関する勧誘を受け、その契約の申込みを行ったが、冷静に考えるとその健康食品を購入しなければならない必要性がなかったことから、その翌日にクーリングオフ通知書を作成して事業者に内容証明郵便で送付する方法に契約解除の通知を行った。
 ところが、申出人がクーリングオフ通知書を送付した2日後、申出人は、その所有している携帯電話に事業者からの着信を受け、「クーリングオフを撤回すれば代金を半額にする」などと事業者の販売員からクーリングオフによる契約解除を思い直すよう説得を受けたが、この電話を受けた時刻はすでに午後9時を過ぎていた。
 しかしながら、特定商取引法第7条第4号及び同法施行規則第7条第1号で「迷惑を覚えさせる仕方」で勧誘やクーリングオフの妨害をすることが禁止されているところ、経済産業省の通達(「特定商取引に関する法律等の施行について」平成25年2月20日)によれば、午後9時から午前8時までの時間帯に勧誘(又はクーリングオフ妨害)を行うことは「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘(又はクーリングオフ妨害)に該当すると解釈されるから、このような事業者の行為は法律に違反する違法なものであるといえる。
 以上のような状況であるため、事業者による同様の被害が拡大しないよう貴庁においてしかるべく対応されたい。

4.その他参考となる事項

特になし

以上


申出書の記載の要点

申出書の根拠法令

上記の申出書は特定商取引法第60条に基づく申出に関する申出書の記載例となります。

なお、特定商取引法第60条に関する申出制度の詳細についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

 

申出書の様式について

特定商取引法第60条に基づく申出で使用する申出書は法律で様式が定められています(特定商取引法施行規則第57条第2項)。

申出書の雛型は消費者庁のサイトからダウンロードすることが可能です。

▶ 特定商取引法の申出制度|消費者庁

▶ 特定商取引法第60条に基づく申出書(様式第五)pdf|消費者庁

 

申出書の提出先

特定商取引法第60条に基づく申出書は「消費者庁長官」もしくは「地方経済産業局長」または「都道府県知事」に対して提出することが必要になります。

「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のどこに提出すればよいかという点や具体的な送付先(消費者庁・各地域の経済産業局・都道府県の担当部署)についてもこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

 

申出書記載の要領

特定商取引法第60条に基づく申出書には、法令で「申出人の氏名又は名称及び住所」「申出に係る取引の態様」「申出の趣旨」「その他参考となる事項」の4項目を記載することが義務付けられており(特定商取引法施行規則第57条)、また申出書の様式(様式第五)ではこの4項目に加えて「申出に係る事業者」を記載する欄が設けられていることから、以上の5つの項目について申出書に記載する必要があります。

【特定商取引法施行規則第57条】

第1項 法第60条第1項 の規定により主務大臣に対して申出をしようとする者は、次の事項を記載した申出書を提出しなければならない。
 一  申出人の氏名又は名称及び住所
 二  申出に係る取引の態様
 三  申出の趣旨
 四  その他参考となる事項
第2項  前項の規定により提出する申出書は、様式第五によること。

①「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄の書き方

「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄には、申出を行う人の氏名と住所を記載します。

前述したように特定商取引法第60条に基づいて行政処分を促す申出をする場合は「申出人の氏名又は名称及び住所」を記載することが法律で義務付けられていますので(特定商取引法施行規則第57条)、匿名で申出することは基本的にできないと考えた方が良いでしょう。

仮に「申出人の氏名又は名称及び住所」を記載しないで申出書を作成した場合(匿名で申出書を提出した場合)には、”特定商取引法第60条の申出”の要件を満たさないことになりますので、役所の方でも法律上”特定商取引法第60条に基づく申出”として受理することはできず、”単なる情報提供”として処理されることになります。

”特定商取引法第60条に基づく申出”として受理された場合には、申出を受けた行政庁には調査や必要な措置をすることが義務付けられますので必ず何らかの処分が出されることが期待できますが、”単なる情報提供”として処理される場合には行政庁に調査や措置を行う義務は発生しませんので、申出を受け取った行政庁が調査等を行うかはその申出書を受け取った役人の判断次第となります。

なお、特定商取引法第60条の申出は「何人も」申出を行うことができますので、悪質商法の被害に遭った被害者本人だけでなく、その家族や友人、親戚等被害者以外の人が申出書を作成して申出を行うことも可能です。

 

②「申出に係る事業者」の欄の書き方

「申出に係る事業者」の欄には、違法行為を行っている事業者の名称と住所を記載します。

この場合、事業者が法人(会社)の場合は登記簿上に記載されている業者の「名称」を、事業者が個人事業主の場合は「屋号」か「代表者の氏名」を記載します。

例えば、業者が株式会社の場合は「株式会社〇〇」と、業者が会社ではなく「悪質太郎」という人が個人事業主として営業しているものである場合には「悪質太郎」と、その悪質太郎が「悪質リフォームサービス」と言う屋号で営業している場合は「悪質リフォームサービス」と記載します。

 

③「申出に係る取引の態様」の欄の書き方

「申出に係る取引の態様」の欄には、違法行為を行っている業者がどのような態様で顧客と取引を行っているかという点を記載します。

上記の記載例では(1)の事例では訪問販売、(2)の事例では電話による勧誘を受けた事案を例として挙げていますので「訪問販売」または「電話勧誘販売」とそれぞれ記載していますが、その勧誘の態様に応じて適宜書き換えてください(※例えばキャッチセールスの場合は「キャッチセールス」など)。

 

④ 「申出の趣旨」の欄の書き方

「申出の趣旨」の欄には、業者がどのような法律違反行為を行っているか(業者のどのような法律違反行為で被害を受けているか)を具体的に記載します。

上記の事例では、訪問販売(又はキャッチセールス、アポイントメントセールス)または電話勧誘販売においては勧誘を受けた消費者が「迷惑を覚えさせる仕方」で勧誘(又はクーリングオフの妨害)を行うことが禁じられているにもかかわらず(訪問販売等の場合→特定商取引法施行規則第7条、電話勧誘販売の場合→特定商取引法施行規則第23条)、「午後9時から午前8時」の時間帯に訪問または電話をして勧誘(又はクーリングオフ妨害)を行っていることから、その「迷惑を覚えさせる時間帯」に勧誘(又はクーリングオフ妨害)をしたこと自体を違法行為として監督官庁に違法行為として申し出て行政処分を求める文章にしています。

なお、経済産業省の通達では、「午後9時から午前8時まで」の時間帯に顧客の自宅を訪問したり顧客の家や携帯などに電話を入れることは「迷惑を覚えさせる仕方」に該当すると判断しています(経済産業省通達「特定商取引に関する法律等の施行について」平成25年2月20日13頁)。

※なお、具体的にどのような態様の勧誘が「迷惑を覚えさせる仕方」にあたるかという点についてはこちらのページで詳細に解説しています。

訪問販売等の業者の「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘の具体例

 

⑤ 「その他参考となる事項」の欄の書き方

「その他参考となる事項」の欄には、上記①~④の他に被害の事実を説明できるような事項を記載します。

基本的には被害の事実を説明できる事項であれば何を書いてもいいのではないかと思いますが、一般的には被害事実を証明できるような資料を箇条書きにしてその資料を申出書に添付することが多いようです。

もっとも、業者の違法性を明らかとするような証拠がない場合には上記の記載例のように「特になし」と記載しても構いません。

(※特定商取引法第60条の申出は単に監督官庁に違法行為があったことを申出るものであって裁判とはことなりますから、業者の違法性を証明する証拠を提出しなくても全く問題ありません)。