点検商法による商品の購入契約をクーリングオフ(解除)する方法


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点検商法とは、水道やガスなどの設備の”点検”を装って個別の住宅を訪問し、それらの設備に不具合があるなどと虚偽の説明をして住民を不安に陥れたうえで商品を購入させたりする悪質商法の一種です。

たとえば「水道設備の点検に来ました」と言って蛇口等を触り「この水道は汚染されているので浄水器の設置が必要です」などと不安に陥れて高額な浄水器を購入させるものや、「ガス漏れの点検に来ました」と言ってガス警報器の設置義務がないにもかかわらず「ガス警報器を設置しないと危険です」などと言って高額な警報器を購入させるものなどが代表的な例としてあげられます。

このような態様の販売方法は、虚偽の説明によって消費者を不安に陥れて商品を購入させる行為であるため極めて悪質性の高い販売手法と言えますから、特定商取引法で規制の対象とされています。

すなわち、特定商取引法という法律では、このような点検商法によって商品の購入や器具の設置工事の契約を結んだ場合には、契約書を受け取った日から8日を経過するまでの間であればクーリングオフによって一方的に契約を解除することが可能と規定されているのです。

そこで今回は、このような点検商法によって結んでしまった商品の売買契約などをクーリングオフ制度によって解除(解約)する場合の具体的な方法などについて考えてみることにいたしましょう。

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点検商法に基づく商品購入などの契約をクーリングオフ(契約解除)する方法

前述したように、点検商法で商品等を購入したり工事費用を支払う契約をした場合には、その契約に関する契約書を受け取って8日が経過するまでの間であれば無条件に一方的に契約を解除することが可能です(特定商取引法第9条)。

【特定商取引法第9条】

第1項 販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは(省略)役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合(省略)におけるその申込みをした者(省略)が営業所等以外の場所において商品(省略)若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(省略)は、書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(省略)を行うことができる。ただし、申込者等が第5条の書面を受領した日(その日前に第4条の書面を受領した場合にあっては、その書面を受領した日)から起算して8日を経過した場合(省略)においては、この限りでない。

これは、点検商法が、消費者に対していわば「不意打ち的」に商品の購入を迫ったり工事の契約を迫るものであるため、消費者に冷静な判断状態で考えなおす時間を与えて消費者を保護する必要があることから定められた制度となります。

8日以内であれば無条件に契約を解除することができますから、たとえ契約の解除に業者側が承諾しなくても消費者側の判断で一方的に契約を解除することが可能となります。

①「契約書を受け取ってから8日が経過するまで」とは?

この点検商法における契約の解除(クーリングオフ)は、法律で規定されているとおり、契約書(又は申込書)を受け取ってから8日が経過してしまうと行うことができません。

無期限にクーリングオフできるとしてしまうと不安定な契約関係が永遠に継続されてしまうことになり経済活動に問題が生じてしまうことから”8日”という期限を区切って契約の解除を認めているのです。

ところで前述した特定商取引法には「書面を受領した日」から起算して8日が経過するとクーリングオフできないと規定されていますが、この「書面を受領した日」とは具体的には「契約書を受領した日」という意味になります。

契約書を受け取っていない場合は8日を経過してもクーリングオフできる

そのため、契約書(又は申込書)を受け取っていない場合(業者が契約書を交付しなかった場合)には「書面を受領した日」がまだ到来していないことになりますから、契約から8日が経過した後であっても、いつまででも(業者が契約書を交付するまで)契約をクーリングオフして解除することが可能となります。

契約書に記載の不備がある場合は8日を経過してもクーリングオフできる

また、業者から契約書(又は申込書)を受け取っていても、その受け取った契約書に不備がある場合(法律で義務付けられた記載事項が記載されていない場合)は「契約書を受け取った」ことになりませんから、契約から8日が経過した後いつまででも(業者が不備のない契約書を交付するまで)契約をクーリングオフして解除することが可能となります。

点検商法などの訪問販売においては契約書(又は申込書)に記載しなければならない事項は法律で細かく定められていますので(特定商取引法第4条)、その記載すべき事項が記載されていない契約書を受け取っても、「契約書を受領した」とみなされないからです。

なお、訪問販売における契約書(又は申込書)に記載されていなければならない事項はこちらのページで詳細に解説していますので参考にしてください。

▶ 訪問販売の契約書に必ず記載されていなければならない事項とは?

受け取った契約書(又は申込書)にこのページで解説している事項についての記載が無かったりその記載が不十分であるような場合は特定商取引法第9条に規定されている「書面を受領した」ことにはなりませんから、その法定の記載事項がすべて記載されている契約書(又は申込書)が改めて交付されない限り、8日が経過した後でも永遠にクーリングオフ(契約解除)することができるということになります。

②「8日が経過するまで」とは?

前述したように、点検商法などでは契約書を受け取ってから8日が経過するまでの間であれば、無条件に、一方的に、特に理由がなくても自由に契約を解除することが可能です。

ところで、この「8日」については初日が含まれることになりますので、例えば8月1日の月曜日に業者から契約書を受け取った場合には、8月8日の月曜日の夜12時までに契約解除の通知をしなければならないことになります。

なお、後述するようにクーリングオフの通知は”書面”によって行うことが必要ですので、具体的には、この場合8月8日の月曜日の郵便局の閉局時刻(または郵便ポストの最終の集荷時刻)までにクーリングオフ通知書を発送して8月8日付の消印をしてもらうことが必要になります(※ただしクーリングオフ通知書は内容証明郵便で送付するのが通常です)。

③「書面」で通知すること

点検商法に限らず、クーリングオフの通知は必ず”書面”で行うことが義務付けられていますので、点検商法の契約を8日以内に解除する場合には”クーリング通知書”を作成して業者に送付しないといけないことになります。

これは口頭によるクーリングオフを認めると「言った、言わない」の水掛け論になってしまうので、それを防ぐために物理的に証拠の残る”書面”で通知することを要件としたものです。

もっとも、クーリングオフをする場合は確実に証拠として残しておくために内容証明郵便を利用して送付するのが実務上の取り扱いとなります。

なお、点検商法で購入した商品のクーリングオフ通知書の記載例はこちらのページを参考にしてください。

▶ 訪問販売・電話勧誘販売におけるクーリングオフ通知書の記載例

④ クーリング通知書は「発送」すればよい

点検商法に限らず、クーリングオフ通知書は「発送」したときにその効力を生じます(特定商取引法第9条2項)。

【特定商取引法第9条】

第1条 (省略)
第2項 申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面を発した時に、その効力を生ずる。
第2項~8項 (省略)

契約書を受領してから8日以内にクーリングオフ通知書を「発送」すればよいので、業者に通知書が到着したのが8日を超えていたとしても、クーリングオフによる契約の解除の効力は有効に発生することになるのです。

たとえば前述の例で考えると、8月1日に業者から契約書を受領したのであれば、クーリングオフ通知書を8月8日の午後12時までに「発送」すれば良く、実際に通知書が業者に到着したのが8月9日以降であっても契約解除の効力は有効に発生することになります。

ただし、前述したようにクーリングオフの通知書は内容証明郵便で送付するのが実務上の取り扱いとなりますので、実際は8日が経過する日の夕方の郵便局が閉店するまでに内容証明郵便で送付するのが一般的です。

なお、仮にその時刻を過ぎてしまった場合は、8日が経過する日の夜12時までにインターネットを利用して郵便局のサイトから電子郵便の内容証明で発送するしかないでしょう。

▶ e内容証明 – 日本郵便

⑤ 契約解除によって発生した損害は全て業者側が負担しなければならない

以上のように、点検商法で商品を購入したり工事の契約をした場合には、契約書を受け取ってから8日が経過するまでの間であれば消費者側で自由に契約を解除(クーリングオフ)することが可能です。

そして、このクーリングオフの制度は「不意打ち的」に商品を買わされたり工事の契約をさせられた消費者を保護するためのものとなりますから、このクーリングオフによる契約の解除によって発生する損害は全て業者側で負担しなければらないことになります。

たとえば、商品を購入している場合にクーリングオフした場合は購入した商品を業者に返品しなければなりませんが、その返品に係る運送料等は全て業者が負担する必要がありますし、支払ったお金を返金してもらう際の振込手数料なども全て業者が負担しなければなりません。

また、そのほかにも、仮に購入した商品を使用してしまっている場合でも、その使用した分の損害についても業者側の負担となりますから、「クーリングオフするなら使った分を返せ」と言われたとしても、そのような業者側の主張は無視してかまわないということになります。

悪質な業者によってはクーリングオフで契約を解除すると様々な理由をつけて金銭の請求をしてくる場合も多いですので、業者側の口車に乗せられてお金を支払ったりしないよう注意が必要です。

繰り返しますが、クーリングオフによって契約を解除した場合は、一切、一円もお金を払う必要はありません。


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