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インターネット通販の詐欺被害に遭った場合にすべき4つのこと

インターネット通販を利用して詐欺被害に遭った場合、皆さんはどのような対応をとるでしょうか?

業者に対して支払った代金の返金を求めるのは当然だと思いますが、相手方は最初からお金を騙し取ることを目的として営業している犯罪者です。

当然、詐欺を行った業者が素直に代金の返還に応じるはずはありませんし、そもそも詐欺の被害に気付いた時点ですでに行方をくらましているかもしれません。

そのような詐欺業者に対してどのような対応を取れば被害を最小限に抑えられるのか、またどのような対処をすれば騙し取られたお金を回収できるのか、あらかじめ知っておくことも万が一の場合に役に立つのではないかと思います。

そこで今回は、インターネット通販を利用して詐欺被害に遭った場合に、具体的にどのような対応を取ればよいか、という点について考えてみることにいたしましょう。

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1.内容証明郵便で代金の返還請求および契約の解除(取り消し)を行う

インターネット通販で詐欺に遭った場合、まずやっておきたいのが業者に対して代金の返還を求めておくことです。

詐欺を行うような業者が素直に代金を返還してくれる可能性は決して高くはないかもしれませんが、泣き寝入りしたくない場合にはキチンと「お金を返せ」と主張しておくことは重要です。

被害者が1人2人請求したぐらいでは業者も何ら影響を受けないでしょうが、数百、数千の被害者から請求書が送られて来たら流石に業者側も「なんかやばいかも…」と考えて何らかの対応を考えるかもしれませんから、「代金の返還請求を行った」という事実を残しておくことはは意味があるでしょう。

ちなみに、業者に対して「支払ったお金を返せ」と主張する行為は、業者との間で取り交わした「商品の売買契約を解除(又は取り消す)」という法律行為が前提となります。

(「お金払ったのに商品を送ってこない」→「だから契約解除(又は取消)した」→「だから支払ったお金を返せ」・・・という理屈)

そのため、「支払ったお金を返せ」と主張する前提として「商品の売買契約を解除(又は取り消す)する」という通知も行っておく必要がありますので、代金の返還請求書には「契約を解除(又は取り消し)をする文言」「代金の返還を求める文言」の2つが記載されておく必要がありますので注意してください。

なお、業者に送付する代金の返還請求および契約の解除(取り消し)を通知する書面は、後日裁判などに発展した場合に証拠として提出することができるように内容証明郵便で送付するようにしておきましょう。

ちなみに、契約の解除や取消通知書の記載例はこちらのページを参考にしてください。

▶ ネット通販で商品が届かない場合の契約解除・取消通知書の記載例

▶ ネット通販の商品が画像と異なる場合の契約解除通知書の記載例

2.消費者庁や国民生活センター(消費生活センター)に被害の申告を行う

インターネット通販で詐欺に遭った場合は、消費者庁や国民生活センター(消費生活センター)に被害の申告を行っておくことも意味があります。

消費者庁や国民生活センターに被害の申告を行ったとしても消費者庁や国民生活センターが個別の詐欺被害救済のために被害者に代わって業者に対して交渉を行ってくれるわけではありませんが、同じ業者からの詐欺被害の報告が複数寄せられている状況であれば、具体的な対処方法や業者の情報などを入手することができるかもしれません。

(※ただし、消費者庁に対する被害申告は単に情報提供を行うだけになりますので、具体的な対処方法などを知りたい場合は国民生活センターに相談や被害申告することが必要です。)

また、同じ業者による同様の詐欺被害の報告が複数寄せられていて、すでに被害者の会や弁護団が結成されている場合には、その被害者の会や弁護団への参加を紹介してもらえるかもしれませんので、消費者庁や国民生活センター(消費生活センター)に詐欺被害の申告することで解決の道筋が見えてくることもあるのではないかと思います。

何より、多くの被害者が消費者庁や国民生活センターに被害の申告を行うことにより社会問題化するようであれば、行政機関としても放置はできなくなって何らかの対応策を講じるかもしれませんので、被害に遭ったらまず消費者庁や国民生活センターに被害の申告をしておくということは覚えておいて損はないでしょう。

全国の消費生活センター等/消費者ホットライン|国民生活センター

▶ 特定商取引法違反被疑情報提供フォーム|消費者庁(http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/disobey_form/)

3.主務大臣に詐欺被害の”申出”を行う

インターネット通販で詐欺に遭った場合には、主務大臣に対して被害の申出を行うことも検討すべきです。

この「主務大臣に対する被害の申出」は、通信販売業者の取引を規定する特定商取引法という法律に定められている正式な手続きで、詐欺の被害が発生した事実があるのであれば誰でも申出をすることができることになっています(特定商取引法第60条)。

※法律上は”何人も”申出することができると定められていますので、実際に詐欺被害に遭った人だけでなく、その詐欺被害の事実を知っている人(※たとえば被害者から詐欺被害の事実を聞かされた友人や同僚、家族、親戚など)であれば誰でも申出をすることができます。

【特定商取引法第60条】

第1項 何人も、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあると認めるときは、主務大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
第2項  主務大臣は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

主務大臣に詐欺被害の申出を行うと、主務大臣(または経済産業局長や都道府県知事)は必要な調査や行うことができ、実際に詐欺の事実があると判断されれば必ず行政処分を行わなければなりません。

そのため、申出によって詐欺業者に対して行政処分という形で行政機関が介入することにより間接的に個別の被害者の問題解決が図れる場合もあると思われますので、主務大臣に対する詐欺被害の申出制度を利用する価値はあると思います。

※前述の消費者庁や国民生活センターへの詐欺被害の申告はあくまでも情報提供の範疇にありますから、被害の申告をしたとしても行政側が個別に調査などを行うかは全て行政機関の”任意”となります。しかし、この特定商取引法第60条に基づく主務大臣への申出の場合は、申出が受理されて主務大臣が調査を行い詐欺の事実が判明すれば”必ず”行政処分を行わなければならないと法律で規定されていますので、業者に対して行政処分を求めたい場合にはこの特定商取引法第60条に基づく主務大臣への申出を行う方が確実と言えます。
なお、特定商取引法第60条に基づく申出制度については『ネット通販詐欺の被害はどこに告発・申告すればいいの?』のページで詳細にレポートしていますので、より詳しく制度の内容を知りたい人はご一読をお勧めします。

4.弁護士または司法書士に相談(依頼)する

インターネット通販で詐欺に遭った場合に、詐欺業者から支払った商品代金を取り戻したいと思う場合には、弁護士か司法書士に相談して示談交渉や裁判を通じて被害金額の回収を図ることも考えるべきでしょう。

いかんせん、インターネット通販における詐欺事件は被害者一人の被害額が数千円から数万円程度と少額になることも多いでしょうから、仮に詐欺業者からお金を取り戻せたとしても弁護士や司法書士に支払う報酬を考えるといわゆる”費用倒れ”に終わってしまう可能性もあり得ます。

しかし、被害者が複数存在し、数人から数十人の被害者の返還請求をまとめて業者に対して裁判を起こすことができれば、弁護士や司法書士費用も格段に少なく抑えることができますから、被害者が多数存在するような詐欺事案であれば弁護士や司法書士に相談して対処してもらうこともあながち無駄とは言えないでしょう。

弁護士や司法書士の方でもその辺は心得ていて、費用倒れに終わるような裁判は初めから依頼を受けませんし(※ただし悪徳弁護士・司法書士は除く)、まともな弁護士や司法書士であればそのような少額の詐欺事案の相談を受けた場合、被害者が複数集まるまで待ってから裁判を提起する(他の弁護士・司法書士事務所と連携して被害者が複数集まってからまとめて裁判を起こす)のが通常ですから、とりあえずそのような消費者案件を扱っている弁護士や司法書士事務所に相談に行っておくのも意味があることだと思います。

なお、司法書士の場合は140万円を超える金額の請求を裁判で代理することはできず、ひとつの業者に対する被害額の合計が140万円を超える場合は司法書士ではなく弁護士に相談する必要がありますのでご注意ください(※司法書士は140万円を超えない金額の範囲内でのみ裁判を通じた返還請求を代理することができます)。

【行政書士に相談しても解決するか?】

なお、このようなネット通販詐欺の被害の事案で”行政書士”に相談する人も多いようですが、行政書士ができるのは業者に対して「契約を解除(又は取り消し)します」という内容証明郵便を送ることぐらいしかありません。

行政書士は法律上、詐欺業者に対して支払い済みの代金の返還を交渉したり裁判を行ったりすることはできませんので、具体的に被害金額の返還を求めたい場合は弁護士もしくは司法書士に相談することが必要となります。