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訪問販売等での不実告知に関する行政処分申出書の記載例

このページでは、訪問販売や電話勧誘販売によって商品を購入したりサービス(工事等)の契約をした際に、業者側の説明に不実告知(事実とは異なる説明)があったことを理由として、行政機関に特定商取引法60条に規定された行政処分の申出(告発・申告)を行う場合の申出書の記載例を公開しています。

※なお、どのような行為が「不実告知」に該当するかなど、取り消しができる要件などの詳細についてはこちらのページを参考にしてください。
▶ 訪問販売等でクーリングオフできない場合に契約を取消す方法

ただし、コピペ(コピーアンドペースト)しても構いませんが著作権を放棄するわけではありませんので無断転載や配布などは禁止します。適宜、ワードなどの文書作成ソフトに打ち込んで自由にご利用ください。

なお、この記載例(雛型)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものであり、仮にこの記載例を使用したことにより損害が発生した場合であっても当サイトの管理人は一切責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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訪問販売や電話勧誘販売によって商品を購入したりサービス(工事等)の契約をした際に、業者側の説明に不実告知(事実とは異なる説明)があったことを理由に、主務大臣等に違法行為の申告を行う場合の申出書の記載例


申出書

平成〇年〇月○日

消費者庁長官 殿

氏名 玉佐怜ルナ  ㊞          
 住所 大阪市東淀川区〇〇1丁目-〇 〇号室
 電話番号 080-****-****       

 下記のとおり、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害される恐れがありますので、適当な措置を取られるよう、特定商取引に関する法律第60条に基づき、申し出ます。

1.申出に係る事業者

 所在地:東京都江東区〇〇1丁目 〇番〇号 〇〇ビル〇F
 名 称:株式会社damashitoruze(以下、「事業者」という)

2.申出に係る取引の態様

 訪問販売

3.申出の趣旨

 申出人は○月上旬、自宅において事業者から派遣された訪問販売員(以下「販売員」という)から「この下着を3か月間着用すれば絶対にウエストが10cm細くなります」という説明を受けたため、それを信じて下着の購入契約を申し込み下着3セットを購入した。
 しかしながら、その後6か月間に渡って毎日この購入した下着を着用して生活したにもかかわらず、ウエストは1mmも細くなっていない。
 このような痩身効果がないにもかかわらずその効果があると告知した事業者の販売員の勧誘行為には、特定商取引法第6条第1項1号で禁止された「商品の性能もしくはその品質」について事実とは異なることを告げる行為があったということができる。
 以上のような状況であるため、事業者による同様の被害が拡大しないよう貴庁においてしかるべく対応されたい。

 

4.その他参考となる事項

※参考資料として次の資料を添付いたします。
・契約書の写し   1通

以上


申出書の記載の要点

申出書の根拠法令

上記の申出書は、特定商取引法第60条に基づく申出に関する申出書の記載例となります。

なお、特定商取引法第60条に関する”申出”は、上記のような訪問販売や電話勧誘販売などだけでなく、通信販売やモニター商法・内職商法、ネット通販詐欺などの業者を告発する場合も同じ手続きとなります。

特定商取引法第60条に基づく主務大臣への申出制度の詳細については、ネット通販詐欺業者を告発する場合の手順を解説したページで詳細にレポートしていますので、この申出制度の詳細についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

 

申出書の様式について

特定商取引法第60条に基づく申出で使用する申出書は法律で様式が定められています(特定商取引法施行規則第57条第2項)。

申出書の雛型は消費者庁のサイトからダウンロードすることが可能です。

▶ 特定商取引法の申出制度|消費者庁

▶ 特定商取引法第60条に基づく申出書(様式第五)pdf|消費者庁

申出書の提出先

特定商取引法第60条に基づく申出書は「消費者庁長官」もしくは「経済産業局長」または「都道府県知事」に対して提出することが必要になります。

「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のどこに提出すればよいかという点や具体的な送付先(消費者庁・各地域の経済産業局・都道府県の担当部署)についてもこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

申出書記載の要領

特定商取引法第60条に基づく申出書には、法令で「申出人の氏名又は名称及び住所」「申出に係る取引の態様」「申出の趣旨」「その他参考となる事項」の4項目を記載することが義務付けられていますので(特定商取引法施行規則第57条)、この4項目については必ず申出書に記載しておく必要がありますが、申出書の様式(様式第五)ではこの4項目に加えて「申出に係る事業者」を記載する欄が設けられていますので、以上の5つの項目について申出書に記載する必要があります。

【特定商取引法施行規則第57条】

第1項 法第60条第1項 の規定により主務大臣に対して申出をしようとする者は、次の事項を記載した申出書を提出しなければならない。
 一  申出人の氏名又は名称及び住所
 二  申出に係る取引の態様
 三  申出の趣旨
 四  その他参考となる事項
第2項  前項の規定により提出する申出書は、様式第五によること。

①「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄の書き方

「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄には、申出を行う人の氏名と住所を記載します。

前述したように特定商取引法第60条に基づく申出おいては「申出人の氏名又は名称及び住所」を記載することが法律で義務付けられていますので(特定商取引法施行規則第57条)、名前や住所を伏せた状態で申出することは基本的にできないと考えた方が良いでしょう。

なお、匿名で申出を提出することも不可能ではありませんが、その場合は役所の方でも法律上”特定商取引法第60条に基づく申出”として受理することはできませんから、”単なる情報提供”として処理されることになるのではないかと思います。

なお、特定商取引法第60条の申出は「何人も」申出を行うことができますので、悪質商法の被害に遭った被害者本人だけでなく、その家族や友人、親戚等被害者以外の人が申出書を作成して申出を行うことも可能です。

②「申出に係る事業者」の欄の書き方

「申出に係る事業者」の欄には、違法行為を行っている事業者の名称と住所を記載します。

この場合、事業者が法人(会社)の場合は登記簿上に記載されている業者の「名称」を、事業者が個人事業主の場合は「屋号」か「代表者の氏名」を記載します。

例えば、業者が株式会社の場合は「株式会社〇〇」と、業者が会社ではなく「悪質太郎」という人が個人事業主として営業しているものである場合には「悪質太郎」と、その悪質太郎が「悪質リフォームサービス」と言う屋号で営業している場合は「悪質リフォームサービス」と記載します。

③「申出に係る取引の態様」の欄の書き方

「申出に係る取引の態様」の欄には、違法行為を行っている業者がどのような態様で顧客と取引を行っているかという点を記載します。

上記の事例では訪問販売によって商品(下着)を購入した事案を例として挙げていますので「訪問販売」と記載していますが、その相手先業者の態様に応じて適宜書き換えてください(※電話で勧誘を受けた場合は「電話勧誘販売」など)。

④ 「申出の趣旨」の欄の書き方

「申出の趣旨」の欄には、業者がどのような法律違反行為を行っているか(業者のどのような法律違反行為で被害を受けているか)を具体的に記載します。

上記の事例では、特定商取引法第6条第1項1号で「商品の種類及びその性能もしくは品質または権利」等について不実のことを告げる行為をすることが禁止されているにもかかわらず、痩身効果がない下着を「これを着用すれば痩せます」と告知して商品を販売したことを事業主側の法律違反行為として行政処分を求める文章にしています。

【特定商取引法第6条】

第1項 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
 1号 商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
 2号~ (省略)

⑤ 「その他参考となる事項」の欄の書き方

「その他参考となる事項」の欄には、上記①~④の他に被害の事実を説明できるような事項を記載します。

基本的には被害の事実を説明できる事項であれば何を書いてもいいのではないかと思いますが、一般的には被害事実を証明できるような資料を箇条書きにしてその資料を申出書に添付することが多いようです。

なお、”写し”を提出するのは、後日業者を相手取って裁判などを提起する必要が生じた場合に原本を提出してしまうと裁判の証拠として裁判所に提出することができなくなってしまうからです。

特定商取引法第60条に基づく申出制度はあくまでも同様の被害が拡大することを防止することが目的であって、行政機関が個別の被害者の救済のため代金の返還などを代行してくれるわけではありませんから、被害の損害回復については各被害者が個別に(多くの場合は弁護士などに依頼して)裁判などで対応するほかありませんので、証拠となるような資料の”原本”は手元に残しておく方が良いでしょう。