宅建業者の断定的判断提供を理由とする行政処分の申出書の記載例


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このページでは、宅建業者(不動産業者)から不動産(土地・建物等)の購入の勧誘を受けたり購入の契約をした場合に、業者側の説明に断定的な判断の提供(将来における変動が不確実な事項につき断定的な判断を提供すること)があったことを理由として、都道府県知事に違法行為の情報提供(告発・申告)を行う場合の申出書の記載例を公開しています。

※なお、悪質な宅建業者(不動産業者)に対して監督官庁の行政処分を促す具体的な手段や方法などについてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 悪質な宅建業者(不動産業者)に行政処分を与える方法

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宅地建物取引業者(不動産業者)の説明に断定的な判断の提供(利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断の提供)があったことを理由に、都道府県知事に対して違法行為の情報提供を行う場合の申出書の記載例

申出書

平成〇年〇月○日

福岡県知事 殿

氏名 打田江留造  ㊞         
 住所 大分県〇〇市〇〇1丁目-〇 〇号室
 電話番号 080-****-****      

 下記のとおり、不動産取引の公正及び購入者等の利益が害される恐れがありますので、宅地建物取引業法第65条に基づき適切な指示を取られるよう、申出(情報提供)いたします。

1.申出に係る事業者

 所在地:福岡市中央区〇〇1丁目 〇番〇号 〇〇ビル〇F
 名称:株式会社悪徳デベロップメント(以下、「事業者」という)
 登録番号:福岡県知事免許(1)第〇〇〇〇〇号

2.申出に係る取引の態様

 電話勧誘販売取引

3.申出の趣旨

 申出人は○月上旬、事業者の販売担当者(以下「担当者」という)から電話による投資用マンションの勧誘を受け「この物件は家賃保証があるから毎月8万円の家賃収入は確実で年率〇%の利回りは絶対に確保できます」という説明があったことから、安定した家賃収入が得られるだろうと考えて、当該投資用マンションの購入を申し込み、手付金〇〇万円を支払った。
 しかしその後知り合いの不動産業者に尋ねてみたところ、家賃保証があっても保証会社の業績によっては家賃保証が切り下げないし打ち切りになる場合もあり得るし、経年劣化によって物件が古くなれば家賃も下げざるを得ず、また修繕積立金の増額などもあり得るから、数年、十数年先まで当初の見込み通りに毎月8万円の家賃収入と当初の見積もり通り年率〇%の利回りが得られる保証はないはずだから考え直した方が良い、と説明されたため、事業者に解約(取消)の申入れを行った。
 これに対し事業者は、「解約したいならそれでもいいが手付解除となるので手付金は返金できない」と回答し、手付金を返還しようとしない。
 しかしながら、宅地建物取引業法第47条の2第1項の規定によれば、宅建業者(不動産業者)が勧誘を行うに際して「利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断の提供」を行うことが禁じられているところ、この事業者は、将来における継続が不確かな家賃保証が確実であると説明したり、将来における変動が不確実であるはずの月8万円家賃収入が確実である旨説明したりするしているのであるから、この事業者は、この断定的判断の提供の禁止規定に違反するものであるといえる。
 以上のような状況であるため、事業者による同様の被害が拡大しないよう貴庁においてしかるべく対応されたい。

4.その他参考となる事項

※参考資料として次の資料を添付いたします。
・契約書の写し   1通
・電話による勧誘を受けた際の会話を録音した通話記録と音声記録  DVD-R 1枚

以上

※業者の登録番号(免許の番号)がわからない場合は「業者の登録番号」は記載しなくても構いません。

申出書の記載の要点

申出書の根拠法令

上記の申出書は、悪質な宅建業者(不動産業者)の法律違反行為について、監督官庁である都道府県知事に対し、行政指導を行うよう情報提供をする場合の申出書の記載例となります。

宅建業者(不動産業者)が違法行為を行っている場合、一般の訪問販売業者の違法行為のように違法行為の申出制度(特定商取引法第60条所定の申出制度)は存在しないため、あくまでも宅建業者(不動産業者)が違法行為を行っているということを監督官庁に「情報提供」するだけの書面となります。

なお、悪質な宅建業者(不動産業者)に対して監督官庁の行政処分を促す具体的な手段や方法などについてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 悪質な宅建業者(不動産業者)に行政処分を与える方法

申出書の提出先

宅建業者(不動産業者)の違法行為を情報提供する相手先は、宅建業者(不動産業者)の監督官庁となっている「国土交通大臣」または「都道府県知事」となります。

上記の事例では「福岡県知事免許(1)第〇〇〇〇〇号」という業者の違法行為を情報提供するものですので、その監督官庁である「福岡県知事」を名宛人として作成しています。

もっとも、法律上、特定の都道府県の区域内で営業している宅建業者(不動産業者)についてはその都道府県以外の都道府県や国土交通大臣から免許を受けた業者であっても、その実際に営業を行っている都道府県知事が調査や行政処分を行うことが認められていますので(宅地建物取引業法第65条第3項及び第4項)、悪質な宅建業者(不動産業者)から法律違反行為を含む営業を受けたのが消費者の住所地である場合には、消費者の住所地の都道府県の都道府県庁に宛てて情報提供しても問題ないと思われます。

なお、各都道府県庁の具体的な送付先や、監督官庁からの行政処分を促す手順などについても詳細はこちらのページで解説していますので参考にしてください。

▶ 悪質な宅建業者(不動産業者)に行政処分を与える方法

申出書記載の要領

上記の申出書は法律の規定に基づいたものではなく単なる情報提供に過ぎませんので、記載要領に特定の決まりはありません。

もっとも、上記で例示した監督官庁に対する情報提供は、特定商取引法第60条に基づく申出と同じ趣旨のものとなりますので、特定商取引法第60条の申出の際に使用する申出書と同じように「申出人の氏名又は名称及び住所」「申出に係る取引の態様」「申出の趣旨」「その他参考となる事項」の4項目を記載するものとして作成しています(特定商取引法施行規則第57条)。

①「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄の書き方

「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄には、申出を行う人の氏名と住所を記載します。

前述したようにこの申出書は”情報提供”に過ぎませんので、必ずしも申出人の氏名と住所を記載しなければならないわけではありません。

しかし、匿名で情報提供を行った場合、監督官庁の方でも「いたずら」の可能性が否定できませんから、氏名を公にして情報提供する方が監督官庁が調査や行政指導を行う確率は高くなると思います。

また、監督官庁が調査を行うに際しても、匿名の情報提供だとその事実関係の聴取などができず、調査にとりかかるのに躊躇する場合も考えられますので、上記の記載例では申出人の氏名と住所を記載するものとして作成しています(※もちろん、単なる情報提供に過ぎませんので名前を知られたくない場合は匿名で提出しても構いません)。

なお、上記の申出書は単なる情報提供の域を出ませんので、悪徳宅建業者(不動産業者)の違法行為で直接被害を受けた被害者本人だけでなく、その家族や友人、親戚等被害者以外の人が申出書を作成し提出しても問題ありません。

②「申出に係る取引の態様」の欄の書き方

「申出に係る取引の態様」の欄には、違法行為を行っている業者がどのような態様で顧客と取引を行っているかという点を記載します。

上記の事例では業者から電話勧誘の方法によって投資用マンションを購入した場合を想定していますので「電話勧誘販売取引」と記載していますが、その事案に応じ、相手先業者の態様ごとに適宜書き換えてください(※事業者の店舗で勧誘を受けた場合は「事業者の営業所における対面取引」など)。

③ 「申出の趣旨」の欄の書き方

「申出の趣旨」の欄には、業者がどのような法律違反行為を行っているか(業者のどのような法律違反行為で被害を受けているか)を具体的に記載します。

上記の事例では、宅地建物取引業法第47条の2で「利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断の提供」を行って勧誘することが禁止されているにもかかわらず、「家賃保証があります」とか「月8万円の家賃収入が確保できます」などと将来において不確実な事項であるはずの「家賃保証」や「家賃収入」による利益が確実であると誤解させる説明があったことを理由として、事業主側の法律違反行為について行政処分を求める文章にしています。

【宅地建物取引業法第47条の2】

第1項 宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(省略)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
第2項~第3項(省略)

なお、宅建業者(不動産業者)がこのような断定的な判断の提供を行っている場合にはその契約は取り消すことができますが、その場合の取消方法などはこちらのページで解説していますので参考にしてください。

▶ 不動産の購入をクーリングオフできない場合に契約を取消す方法

(※断定的な判断の提供を理由に契約を取消した場合は支払っている手付金は全額返還してもらうことができます)

④ 「その他参考となる事項」の欄の書き方

「その他参考となる事項」の欄には、上記①②③の他に宅建業者(不動産業者)が違法行為を行っている事実を説明できるような事項を記載します。

基本的には業者の違法行為を説明できる事項であれば何を書いてもいいのではないかと思いますが、上記のように業者の違法行為を証明できる(又は推認できる)ような資料を箇条書きに記載すると良いのではないかと思います。

上記の記載例では、宅建業者との契約関係を明らかにするため「契約書の写し」を、また、宅建業者が「利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断の提供」を伴う説明を行ったことを明らかにするために、そのような断定的な判断の提供が行われた電話での説明の際の通話を録音した「音声記録をダウンロードしたDVD-R」を添付することにしています。

なお、”写し”を提出するのは、後日業者を相手取って裁判などを提起する必要が生じた場合に原本を提出してしまうと裁判の証拠として裁判所に提出することができなくなってしまうからです。

上記の情報提供はあくまでも同様の被害が拡大することを防止し、業者に対して行政処分が出されることを促すことが目的であって、行政機関が個別の被害者の救済のため代金の返還などを代行してくれるわけではありませんから、被害の損害回復については各被害者が個別に(多くの場合は弁護士などに依頼して)裁判などで対応するほかありませんので、証拠となるような資料の”原本”は手元に残しておく方が良いでしょう。

なお、業者の違法行為を証明したり推認させるような資料がない場合は添付書類を付ける必要はありませんし、その場合にはこの④の欄は削除しても構いません。


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