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契約書に嘘の記載を勧める業者の行政処分申出書の記載例

このページでは、訪問販売(キャッチセールス・アポイントメントセールス含む)や電話勧誘販売において、業者から契約書や申込書に事実とは異なる記載をするよう勧められたことを理由として、監督官庁に違法行為の申出(告発・申告)を行う場合の申出書の記載例を公開しています。

※なお、訪問販売業者等に禁止される「契約に係る書面に年齢、職業その他の事項について虚偽の記載をさせること」が具体的にどのような場合をいうのかという点についてはこちらのページで解説しています。

業者が契約書の年齢・職業等の欄に嘘を記載させるのは違法

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なお、この記載例(雛型)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものであり、仮にこの記載例を使用したことにより損害が発生した場合であっても当サイトの管理人は一切責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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訪問販売や電話勧誘販売、キャッチセールスやアポイトメントセールスの業者から、契約書(又は申込書)に虚偽の記載をするよう勧められたことを理由として監督官庁に行政処分を求める場合の申出書の記載例

申出書

平成〇年〇月○日

大阪府知事 殿 ← ※”消費者庁長官”や”地方経済産業局長”でもよい

氏名 珠佐蓮太郎  ㊞             
 住所 岡山県倉敷市〇〇1丁目 〇‐〇‐〇号室  
 電話番号 080-****-****          

 下記のとおり、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害される恐れがありますので、適当な措置を取られるよう、特定商取引に関する法律第60条に基づき、申し出ます。

1.申出に係る事業者

 所在地:大阪市淀川区〇〇1丁目 〇番〇号 〇〇ビル〇F
 名 称:株式会社カモネギ・ジュエリー販売(以下、「事業者」という)

2.申出に係る取引の態様

 訪問販売

3.申出の趣旨

 申出人は○月上旬、自宅において、事業者の販売担当者(以下「販売員」という)から訪問販売の態様により宝石等の貴金属の購入に関する勧誘を受けた。
 この勧誘の際、申出人は代金の支払いについてクレジット契約を利用することにしたが、申出人がアルバイトで年収が150万円程度しかなかったため審査に通らないのではないかと質問したところ、販売員から「申込書の職業の欄に”正社員”と記載して年収の欄も”300万円”と記載しておけば大丈夫ですよ」とアドバイスを受けたことから、販売員の勧めるとおり契約書の職業の欄に「正社員」と、年収の欄に「300万円」とそれぞれ事実とは異なる記載を行った。
 しかしながら、訪問販売その他特定商取引法で規制される取引を業とする業者は、その契約を締結するに際して契約書や申込書に「年齢」「職業」「その他の事項」について虚偽の記載をさせることは禁じられているから(特定商取引法第7条第4号・同法施行規則第7条第4号)、事業者が申出人に対して契約書に虚偽の記載をするよう勧めたこの行為は法律に違反する違法な行為であるといえる。
 以上のような状況であるため、事業者による同様の被害が拡大しないよう貴庁においてしかるべく対応されたい。

4.その他参考となる事項

特になし

以上

申出書の記載の要点

申出書の根拠法令

上記の申出書は特定商取引法第60条に基づく申出に関する申出書の記載例となります。

なお、特定商取引法第60条に関する申出制度の詳細についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

 

申出書の様式について

特定商取引法第60条に基づく申出で使用する申出書は法律で様式が定められています(特定商取引法施行規則第57条第2項)。

申出書の雛型は消費者庁のサイトからダウンロードすることが可能です。

▶ 特定商取引法の申出制度|消費者庁

▶ 特定商取引法第60条に基づく申出書(様式第五)pdf|消費者庁

 

申出書の提出先

特定商取引法第60条に基づく申出書は「消費者庁長官」もしくは「地方経済産業局長」または「都道府県知事」に対して提出することが必要になります。

「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のどこに提出すればよいかという点や具体的な送付先(消費者庁・各地域の経済産業局・都道府県の担当部署)についてもこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

 

申出書記載の要領

特定商取引法第60条に基づく申出書には、法令で「申出人の氏名又は名称及び住所」「申出に係る取引の態様」「申出の趣旨」「その他参考となる事項」の4項目を記載することが義務付けられており(特定商取引法施行規則第57条)、また申出書の様式(様式第五)ではこの4項目に加えて「申出に係る事業者」を記載する欄が設けられていることから、以上の5つの項目について申出書に記載する必要があります。

 

①「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄の書き方

「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄には、申出を行う人の氏名と住所を記載します。

前述したように特定商取引法第60条に基づいて行政処分を促す申出をする場合は「申出人の氏名又は名称及び住所」を記載することが法律で義務付けられていますので(特定商取引法施行規則第57条)、匿名で申出することは基本的にできないと考えた方が良いでしょう。

仮に「申出人の氏名又は名称及び住所」を記載しないで申出書を作成した場合(匿名で申出書を提出した場合)には、”特定商取引法第60条の申出”の要件を満たさないことになりますので、役所の方でも法律上”特定商取引法第60条に基づく申出”として受理することはできず、”単なる情報提供”として処理されることになります。

”特定商取引法第60条に基づく申出”として受理された場合には、申出を受けた行政庁には調査や必要な措置をすることが義務付けられますので必ず何らかの処分が出されることが期待できますが、”単なる情報提供”として処理される場合には行政庁に調査や措置を行う義務は発生しませんので、申出を受け取った行政庁が調査等を行うかはその申出書を受け取った役人の判断次第となります。

なお、特定商取引法第60条の申出は「何人も」申出を行うことができますので、悪質商法の被害に遭った被害者本人だけでなく、その家族や友人、親戚等被害者以外の人が申出書を作成して申出を行うことも可能です。

 

②「申出に係る事業者」の欄の書き方

「申出に係る事業者」の欄には、違法行為を行っている事業者の名称と住所を記載します。

この場合、事業者が法人(会社)の場合は登記簿上に記載されている業者の「名称」を、事業者が個人事業主の場合は「屋号」か「代表者の氏名」を記載します。

例えば、業者が株式会社の場合は「株式会社〇〇」と、業者が会社ではなく「悪質太郎」という人が個人事業主として営業しているものである場合には「悪質太郎」と、その悪質太郎が「悪質リフォームサービス」と言う屋号で営業している場合は「悪質リフォームサービス」と記載します。

 

③「申出に係る取引の態様」の欄の書き方

「申出に係る取引の態様」の欄には、違法行為を行っている業者がどのような態様で顧客と取引を行っているかという点を記載します。

上記の記載例では訪問販売による勧誘を受けた事案を例として挙げていますので「訪問販売」と記載していますが、その勧誘の態様に応じて適宜書き換えてください(※例えば電話による勧誘の場合は「電話勧誘販売」など)。

 

④ 「申出の趣旨」の欄の書き方

「申出の趣旨」の欄には、業者がどのような法律違反行為を行っているか(業者のどのような法律違反行為で被害を受けているか)を具体的に記載します。

上記のの事例では、訪問販売(又はキャッチセールス、アポイントメントセールス)または電話勧誘販売においては、業者が契約書や申込書の「年齢」「職業」「その他の事項」について虚偽の記載をさせることが禁止されているのに(訪問販売等の場合→特定商取引法施行規則第7条4号、電話勧誘販売の場合→特定商取引法施行規則第23条4号)、申出人がアルバイトであるにも係わらず「正社員と記入しておけば大丈夫ですよ」とか、申出人の年収が150万絵程度しかないにもかかわらず「300万円と記入しておけば審査通りますよ」などと事実とは異なる記載をするようアドバイスしていることから、「契約に係る書面に年齢、職業その他の事項について虚偽の記載をさせ」たものとして監督官庁に行政処分を求める文章にしています。

※なお、具体的にどのような業者の態様が「契約に係る書面に年齢、職業その他の事項について虚偽の記載をさせること」に該当するかはこちらのページで詳細に解説しています。

業者が契約書の年齢・職業等の欄に嘘を記載させるのは違法

 

⑤ 「その他参考となる事項」の欄の書き方

「その他参考となる事項」の欄には、上記①~④の他に被害の事実を説明できるような事項を記載します。

基本的には被害の事実を説明できる事項であれば何を書いてもいいのではないかと思いますが、一般的には被害事実を証明できるような資料を箇条書きにしてその資料を申出書に添付することが多いようです。

もっとも、業者の違法性を明らかとするような証拠がない場合には上記の記載例のように「特になし」と記載しても構いません。

(※特定商取引法第60条の申出は単に監督官庁に違法行為があったことを申出るものであって裁判とはことなりますから、業者の違法性を証明する証拠を提出しなくても全く問題ありません)。