インターネットのウェブサイトで商品を販売している商取引(いわゆるネットショッピング、ネット通販)については特定商取引法という法律で規制されることになるのは皆さんご存知(?)と思いますが、ではなぜインターネット通販(ネットショッピング)が特定商取引法の規制対象となるのか、その法的な根拠を明確に認識していますでしょうか?
私も、インターネット通販が特定商取引における「通信販売」に含まれることについては”当たり前のこと”という認識でしたので、これまで特定商取引法の”どの条文”でネット通販が特定商取引法にいう”通信販売”に該当するかという点については特に深く考えていませんでした。
しかし先日、ふとした時間の合間に「そういえば、ネット通販の特定商取引法上の根拠条文って何条だろう?」と何気に気づいてしまい、久方ぶりに民事法研究会の消費者六法を引っ張り出して来て調べてみることにしました。
特定商取引法における「通信販売」の定義
特定商取引法における「通信販売」にどのような取引が含まれるかという点については、特定商取引法の第2条第2項に規定されています。
特定商取引法の第2条第2項では、販売業者が「主務省令で定める方法」によって売買契約の申込みを受ける(商品を売る)ものを「通信販売」というと定義されていますので、この「主務省令で定める方法によって商品を販売するもの」が特定商取引法の対象となる「通信販売」に該当することになります(特定商取引に関する法律)。
【特定商取引法第2条】
1 省略
2 この章及び第58条の19において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(省略)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。
3 省略
4 省略
「主務省令で定める方法」とは?
では、この「主務省令で定める方法」とは、具体的にどのような方法をいうのでしょうか?
「主務省令で定める方法」にインターネットのウェブサイトで商品を販売するいわゆる”ネット通販”が含まれなければ特定商取引法にいう”通信販売”に該当しないので問題となります。
特定商取引法の第2条第2項にいう「主務省令」は「特定商取引法施行令」のことを指しますので、特定商取引法施行令を確認してみましょう。
特定商取引法施行令の第2条第2号では、「特定商取引法の第2条第2項」における「主務省令に関する方法」は「その他の通信機器または情報処理の用に供する機器」も含まれる、と規定されています(特定商取引に関する法律施行令)。
【特定商取引法施行令第2条】
法第2条第2項の主務省令で定める方法は、次の各号に掲げるものとする。
1 省略
2 電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法
3 省略
4 省略
この点、PCやスマホ、タブレットといったインターネットに接続できる機械は、この特定商取引法施行令第2条第2号にいう「その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器」に含まれることになりますから、インターネットによる通信販売も特定商取引法第2条第2項にいう「通信販売」に含まれるということになります。
以上のように、インターネット通販サイトを利用した取引が”通信販売”として特定商取引法の規制の対象となることは明文の規定がキチンと存在していますので、インターネット通販サイトを運営していていたり、これから運営しようと考えていこうと考えている人は一度条文に目を問うしておいた方が良いのではないかと思います。