インターネット通販で購入した商品が届かなかったり、商品が届いてもそれがサイトに表示されていた画像や説明とことなる粗悪品などであった場合には、通販業者に対して契約の通知書を送付して支払った代金の返還を求めることができます。
▶ ネット通販でサイトの画像と違う商品が送られてきた場合の対処法
しかし、このように契約の解除や支払代金の返還を請求することができるとは言っても、それはあくまでもその詐欺業者と連絡が着くことが前提となります。
ネット通販を利用する詐欺業者や粗悪品を販売している業者は、短期間に多数の顧客との取引を行い、利益が出た時点ですぐに行方をくらましてしまうことが通常であるため、業者に苦情や問い合わせの連絡を入れた段階ですでにサイトが閉鎖されてしまっていたり、行方が分からなくなっている場合も多くあります。
このように詐欺業者と連絡が着かなくなってしまった場合、どのようにして詐欺業者の所在を突き止めて代金の返還を請求していけばよいか、という点が問題となります。
詐欺業者のサイトを管理しているサーバー会社やショッピングモールサイトの運営会社などに問い合わせをしてみる
インターネット通販で購入した商品が送られてこなかったり、送られてきても粗悪品やサイトに表示されていた画像や説明と異なる品質のものであったというようなネット通販詐欺に遭った場合において、そのネット通販業者のサイトが閉鎖されてしまったり連絡が取れなくなってしまった場合には、その詐欺業者が運営しているサイトを管理しているサーバー会社や、その詐欺業者が出店しているショッピングモールサイトの運営業者に問い合わせをしてみましょう。
仮に、その詐欺業者が独自ドメインで通販サイトを運用していたような場合は、そのサイトをインターネット上にアップロードするためにサーバー会社でサーバーをレンタルしていると思われますので、詐欺業者の行方が分からなくなったとしてもサーバー会社にその詐欺業者の情報が保管されている可能性があります。
なお、独自ドメインのサイトのサーバー会社を調べるには下記のサイトなどを利用すると良いのではないかと思います。
また、詐欺業者のサイトがショッピングモールのサイトに出店してる形でUPされているようなものである場合(例えば楽天市場やamazon、ヤフーショッピングなどのショッピングモールに出店しているような場合)であれば、そのショッピングモールを運営している会社(例えば楽天やamazon、yahooなど)にその業者の情報が残されているはずですので、それらの運営会社に問い合わせしてみるのも一つの手段となるでしょう。
もっとも、これらサーバー会社やショッピングモールの運営会社の方では、個々の取引先との契約上その取引先の情報をみだりに公開できないことになっていると思われますので、サーバー会社やショッピングモールの運営会社に問い合わせしても詐欺業者の情報を教えてもらえないこともあると思います。
そのような場合は次の項で説明するように弁護士に相談して情報の開示を依頼していくほかないかもしれません。
弁護士に相談して「弁護士会照会」の制度を利用してもらう
弁護士は、相談者から依頼を受けた事件について、その事件の解決に必要となる証拠や資料などを収集して事実関係を調査する必要などがある場合には、その所属する弁護士会に対して弁護士法第23条の2に基づいて”照会”を求めることができます(弁護士法第23条の2)。
【弁護士法第23条の2】
第1項 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
第2項 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
この弁護士会の照会制度は、法律の条文から「24条請求」と一般に呼ばれているものですが、個別の弁護士から照会の申出を受けた弁護士会は、その申出に基づいて、個別の弁護士が照会を希望する公務所(役所や官公署)、民間企業、その他の団体などに、その個別の弁護士が依頼を受けた事件の解決に必要となる証拠や資料の公開(報告)等を求めることができます。
そのため、仮に前述したようにサーバー会社やショッピングモールの運営会社が詐欺業者の情報を教えてくれないような場合であっても、この弁護士会の照会制度(24条請求)を利用すれば、サーバー会社やショッピングモール運営会社からその詐欺業者の所在や連絡先を聞き出すことが出来るものと思われます。
ちなみに、この弁護士法23条の2に基づく弁護士会の請求制度は、国民の権利を守る弁護士の職務活動を円滑に行うために必要となる重要な制度といえますから、その照会が適法で必要性や相当性がある限り、弁護士会から照会を受けたサーバー会社やショッピングモールの運営会社は照会に答えなければならない義務が発生します(紹介を拒否すると弁護士側から慰謝料請求される可能性がある)。
なので、詐欺業者の行方が分からないよ言うような場合には、この弁護士会の照会制度を利用してサーバー会社やショッピングモールの運営会社側などから詐欺業者の情報を収集するというのも一つの解決方法として有効かもしれません。
参考サイト
弁護士会照会制度|日本弁護士連合会
▶ http://www.nichibenren.or.jp/activity/improvement/shokai.html