ネット通販詐欺の被害はどこに告発・申告すればいいの?


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ネットショッピングの通販サイトで詐欺に遭った場合、その詐欺被害について行政機関に告発を行うことが可能です。

告発を行ったとしても告発を受けた行政機関が被害者の代わりにだまし取られたお金を回収してくれるわけではありませんが、行政機関(都道府県庁や消費者庁)が業者に対して調査を行い行政指導や業務停止などの行政処分を行うことになれば業者側が被害回復の和解に応じたりする可能性もありますから、行政機関への告発も間接的ではありますがトラブル解決の一つの手段として有効と考えることもできるでしょう。

※行政機関への告発・申出はあくまでの行政指導を求めることにより被害の拡大を防ぐのが目的です。行政機関に詐欺被害の告発(申出)を行っても行政機関が個別の被害者の救済を行ってくれるわけではありませんので誤解のないようにして下さい。

何より、行政機関に告発を行うことで詐欺被害の拡大を抑止することができますから、ネットショッピング詐欺に遭った場合には積極的に行政機関に対して詐欺被害の申告(届出)をしておくべきとも言えます。

もっとも、とはいってもネット通販詐欺の被害に遭った事実を「どこ」の行政機関に「どのように」申告(告発)すればよいか一般の人には分かりにくいのが正直な話だと思います。

そこで今回は、ネットショッピング詐欺(ネット通販詐欺)の被害に遭った場合に行政機関に対してどのように告発(申告)すればよいのか、その方法などについて考えてみることにいたしましょう。

※なお、このページで解説する主務大臣への申出(特定商取引法第60条に基づく申出)は、ネット通販詐欺など通信販売の場合だけでなく、訪問販売や電話勧誘販売、業務提供誘引販売、特定継続的役務提供などの取引を行う業者に対して行政処分を求める場合も同様に行うことができますので、訪問販売その他の取引で被害に遭った際に業者を告発する場合もこのページを参考にして申出を行ってください。


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「どこ」に申出(告発・申告)するか

ネット通販詐欺(ネットショッピング詐欺)の被害について行政機関に申出(告発・申告)する場合に具体的に「どこ」の行政機関に被害の申告を行えば良いかという点が問題になります。

① 「主務大臣」に対して申告するのが基本

この点、ネットショッピングなどの店舗外取引を規定している特定商取引法という法律では、ネット通販などの購入者が経済的な損害を受けた場合には「主務大臣」に対してその旨を申告(申告・届出)することができると規定されていますので、ネット通販詐欺被害の申告については第一義的には「主務大臣」に対して行うということになります(特定商取引法第60条)。

【特定商取引法第60条】

第1項 何人も、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあると認めるときは、主務大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
第2項  主務大臣は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

ちなみに、「主務大臣とは具体的には誰なの?」という点も疑問に思うかもしれませんが、特定商取引法に関する取引の監督機関は消費者庁もしくは経済産業省となりますので、具体的には「消費者庁長官」もしくは「経済産業局長」に申出(告発・申告)することになります(※この点については後述します)。

② 「都道府県知事」に対して告発(申告)できる場合

前述したようにインターネット通販詐欺の被害申告は「消費者庁長官」または「経済産業局長」に行うのが基本となりますが、その詐欺業者が特定の都道府県の区域内で広告を行っている場合には、その業者が広告を掲載している都道府県の「知事」に対して告発を行うことも可能です(特定商取引法施行令第19条第5項)。

【特定商取引法施令第19条】

第5項 通信販売に係る取引に関する法第六十条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、販売業者又は役務提供事業者の通信販売についての広告(通信販売電子メール広告受託事業者が受託して行うものを含む。)がされた場所又は地域を含む都道府県の区域を管轄する都道府県知事が行うこととする。ただし、主務大臣が自らその事務を行うことを妨げない。

例えば、東京都内でのみ広告を掲載している業者から商品を購入し詐欺に遭ったような場合には、「東京都知事」に対して詐欺被害の申出(告発・申告)をすることが可能となります。

(※もっともインターネットのウェブサイトの場合は特定の都道府県でのみサイトの閲覧ができるという状況にはないと考えられますので、インターネット取引の詐欺被害の場合は事実上、都道府県知事に詐欺被害の申出(告発・申告)を行うということはないと思います)。

③ 「主務大臣」「経済産業局長」「都道府県知事」のどこに告発するべきか?

以上のように、インターネット取引で詐欺被害に遭った場合には「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のいずれかに対して詐欺被害の告発(申告・届出)を行うことが可能となります。

では、実際にインターネット通販詐欺に遭った場合に、この「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のうち、どこに被害の告発(申告・届出)を行えばよいかというと、それは詐欺業者の営業区域で区別することになります。

前述の②で説明したように、詐欺を行っている業者が「特定の都道府県」で広告を出しているような場合にはその「都道府県知事」に告発(申告・届出)を行います。

仮にその詐欺を行っている業者が複数の都府県にまたがって営業活動を行っているような場合には、その”特定の地域”を管轄する「経済産業局長」に対して告発(申告・届出)を行います(※例えば福岡・熊本・大分地域で営業している業者であれば九州経済産業局の局長に告発(申告・届出)を行う)。

詐欺を行っている業者が全国規模で営業しているような場合には「消費者庁長官」に詐欺被害の申告を行うということになります。

もっとも、前述したように常識的に考えるとインターネットによる取引は特定の都道府県や特定の地域に限定してサイトを公開しているものではありませんので、インターネットのサイトで商品を購入したような事案の詐欺被害に関しては「消費者庁長官」に告発(申告・届出)を行うことになるでしょう。

業者の営業区域 詐欺被害の告発(申告・届出)の相手先
 特定の都道府県 その都道府県知事に対して詐欺被害の申告を行う
 特定の地域 その地域を管轄する経済産業局長に対して詐欺被害の申告を行う
 全国 消費者庁長官に対して詐欺被害の申告を行う

どこに告発(申告・届出)すればよいかわからない場合

前述したように、インターネット取引で詐欺被害に遭った場合には、その業者の営業区域に応じて「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のいずれかに対して詐欺被害の告発(申告)を行うことになります。

もっとも、「消費者庁長官・経済産業局長・都道府県知事のいずれに告発(申告)を行えばよいかわからない」という人は、「消費者庁長官」または「経済産業局長」に対して告発(申告)を行っておけば問題ありません。

「消費者庁長官」に被害の申告を行っても消費者庁の方で「この案件は都道府県の方で処理するほうがいいな」と判断すればその都道府県に対して調査を要請することになりますし、「経済産業局長」に申告しても経済産業局の方で「この案件は消費者庁の方で処理するほうがいいな」と判断すれば消費者庁の方で処理を行うことになるからです。

そのため「どこに申告してよいかわからない」という人は、取り合えず「消費者庁長官」または「経済産業局長」に対して告発(申告)をしておくようにしましょう。

具体的にどの部署に申告するか?

前述したように、インターネット取引で詐欺被害に遭った場合には、その業者の営業区域に応じて「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のいずれかに対して詐欺被害の告発(申告)を行うことが可能です。

では、この「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」に詐欺被害の告発(申告)を行う場合、具体的に「どこの部署」に対して告発(申告)を行えばよいのでしょうか?

一般市民個人が消費者庁長官や経済産業局長、都道府県知事といった偉い方々に簡単に会うことはできないでしょうし、電話を入れたとしても取り次いでもらえる可能性はないと考えられるので問題となります。

この点、インターネット取引に関する詐欺被害の告発(申告)先は消費者庁、経済産業局、都道府県でそれぞれ担当部署が設置されていますので、その担当部署が詐欺被害の告発(申告)先となります。

具体的には、告発(申告)を行いたい相手先が「消費者庁長官」の場合には「消費者庁の取引対策課」に、「経済産業局長」の場合には「各地域を管轄する経済産業局の産業部消費経済課」に、「都道府県知事」の場合は「各都道府県庁に設置されている特定商取引法担当課」に告発(申告)を行うことになります。

被害の告発(申告)先 具体的な告発(申告)場所
 消費者庁長官  消費者庁の取引対策課
 経済産業局長  各地域を管轄する経済産業局の産業部消費経済課
 都道府県知事  各都道府県庁に設置されている特定商取引法担当課

なお、後述するようにインターネット取引における詐欺被害の告発(申告)は”書面(申出書)”で行うことが義務付けられていますが、その申出書は具体的に次の部署に送付することが必要となります。

担当部署名 郵便番号 申出書の送付先住所
消費者庁取引対策課 100-8958 東京都千代田区霞が関3-1-1中央合同庁舎第4号館7階
北海道経済産業局
産業部消費経済課
060-0808 北海道札幌市北区八条西2-1-1
東北経済産業局
産業部消費経済課
980-8403 宮城県仙台市青葉区本町3-3-1
関東経済産業局
産業部消費経済課
330-9715 埼玉県さいたま市中央区新都心1-1
中部経済産業局
産業部消費経済課
460-8510 愛知県名古屋市中区三の丸2-5-2
近畿経済産業局
産業部消費経済課
540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
中国経済産業局
産業部消費経済課
730-8531 広島市中区上八丁堀6-30
四国経済産業局
産業部消費経済課
760-8512 香川県高松市サンポート3-33
九州経済産業局
産業部消費経済課
812-8546 福岡市博多区博多駅東2-11-1
沖縄経済産業局
産業部消費経済課
900‐0006 沖縄県那覇市おもろまち2‐1‐1
各都道府県
特定商取引法担当課
日本産業協会のサイトに一覧表が掲載されています
申出制度のページ】【申出先(pdf)

詐欺被害の告発(申告・届出)の方法

前述したように、インターネット取引で詐欺被害に遭った場合には、その被害について「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のいずれかに告発(申告・届出・申出)を行うことが可能ですが、この告発(申告・届出・申出)は”申出書”という”書面”で行うことが法律で義務付けられています(特定商取引法施行規則第57条)。

【特定商取引法施行規則第57条】

第1項 法第60条第1項 の規定により主務大臣に対して申出をしようとする者は、次の事項を記載した申出書を提出しなければならない。
 一  申出人の氏名又は名称及び住所
 二  申出に係る取引の態様
 三  申出の趣旨
 四  その他参考となる事項
第2項  前項の規定により提出する申出書は、様式第五によること。

そのため、詐欺被害の告発(申告)を行う場合は必ずこの申出書を作成して提出することが求められます。電話やメールで告発(申告)を行っても特定商取引法第60条の”申出”とは認められませんので注意するようにしてください。

なお、特定商取引法第60条の申出に関する申出書の書き方(記載例)についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ インターネット通販詐欺被害に遭った場合の申出書の記載例

ちなみに、この申出書の雛型は、消費者庁のサイトからダウンロードすることができます。

特定商取引法施行規則第57条第2項の申出書(様式第五)|消費者庁

▶ http://www.caa.go.jp/trade/pdf/130401moushide_2.pdf

警察や検察に詐欺の被害届を出したり詐欺罪で告訴することはできるか?

上記のように、インターネット通販サイトで詐欺の被害に遭った場合には、特定商取引法という法律の第60条に基づいて主務大臣(または地方経済産業局長や都道府県知事)に”申出”を行うことが可能です。

では、これとは別に、業者から詐欺に遭ったことを理由に警察に被害届を提出したり、検察に詐欺罪で告発をすることはできるでしょうか?

ネット通販でお金を騙し取られることは実質的に”詐欺”の被害に遭うのと異なりませんから、警察や検察に告訴・告発できるかが問題となります。

この点、ネット通販を利用した際に商品が届かなかったり、サイトで説明した品質のものと異なる商品が送付されてきたというような事例も、騙されてお金を搾取されるという点では一般にいう”詐欺”と同じと言えますから、ネット通販業者を詐欺罪で告訴・告発したり警察に被害届を出すことも当然可能といえます。

しかし、警察という組織は確実に検挙できるような証拠がない限り捜査を始めようとしないことが多いですし、詐欺などの知能犯については専門の捜査班を設けて慎重に捜査をしなければなりませんから、被害者が一人しかいないような事件で捜査班を作って捜査に乗り出すというようなことはあまり期待できないでしょう。

そのため、やはりネット通販で詐欺被害に遭った場合には、まず前述したように主務大臣(または地方経済産業局長や都道府県知事)に対して特定商取引法第60条に基づく”申出”を行い、行政機関に詳細な調査をしてもらって行政処分という形で業者側を追い詰めていく方が良いのではないかと思います。

特定商取引法第60条の申出制度による行政機関の調査によって業者側の営業態様に”詐欺罪”を構成するような事実のあることが判明すれば、行政機関の方から検察に詐欺罪で告発がなされるのが通常ですので、個人で告訴や告発を行うよりも確実に警察や検察を動かして業者側に刑事責任を追及することができるはずです。

このように、特定商取引法第60条に基づく申出制度を利用することは業者に刑事責任を追及するうえで一見して遠回りのように見えますが、ネット通販詐欺のような経済犯罪においては案外使い勝手の良い確実な責任追及手段だと思いますので、もっと積極的に利用すべきではないかと思います。


参考サイト

特定商取引法の申出制度 / 取引対策課 | 消費者庁

http://www.caa.go.jp/trade/moushide.html#s01

特定商取引法の申出制度について|日本産業協会

http://www.nissankyo.or.jp/nsk/no-trouble/seido.html#sec5


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