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業者が勤務先まで押しかけてきた場合の行政処分申出書の記載例

このページでは、訪問販売(キャッチセールス・アポイントメントセールス含む)や電話勧誘販売において、業者が勤務先まで押しかけてきた場合に、「迷惑を覚えさせる仕方」による勧誘やクーリングオフ妨害を理由として、監督官庁に違法行為の申出(告発・申告)を行う場合の申出書の記載例を公開しています。

※なお、具体的にどのような態様が「迷惑を覚えさせる仕方」に該当するといった点についてはこちらのページ参考にしてください。

訪問販売等の業者の「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘の具体例

適宜、ワードなどの文書作成ソフトに打ち込んで自由にご利用ください。

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なお、この記載例(雛型)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものであり、仮にこの記載例を使用したことにより損害が発生した場合であっても当サイトの管理人は一切責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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訪問販売業者(キャッチセールス・アポイントメントセールス含む)や電話販売業者が勤務先まで押しかけてきた場合に、「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘等を理由に監督官庁に違法行為の申出をする場合の申出書の記載例

申出書

平成〇年〇月○日

東京都知事 殿 ← ※”消費者庁長官”や”地方経済産業局長”でもよい

氏名 川佐連麻衣  ㊞
住所 東京都八王子市〇〇1丁目-〇 〇号室
電話番号 080-****-****

 下記のとおり、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害される恐れがありますので、適当な措置を取られるよう、特定商取引に関する法律第60条に基づき、申し出ます。

1.申出に係る事業者

所在地:東京都江東区〇〇1丁目 〇番〇号 〇〇ビル〇F
名 称:株式会社オシカケ販売(以下、「事業者」という)

2.申出に係る取引の態様

電話勧誘販売

3.申出の趣旨

申出人は○月上旬、事業者の販売担当者(以下「販売員」という)から電話による”電動マッサージ機”の購入に関する勧誘を受け、その契約の申込みを行ったが、冷静に考えると電動マッサージ機を購入しなければならない理由がないことに気付いたことから、その翌日にクーリングオフ通知書を作成して事業者に内容証明郵便で送付する方法に契約解除の通知を行った。
これに対し事業者の販売員は、申出人がクーリングオフ通知書を送付した2日後、申出人の所有する携帯電話に電話を掛け、「クーリングオフを撤回すればダイエット用食品を1セットサービスします」などと告知してクーリングオフによる契約解除を思い直すよう説得をおこなったが、申出人はクーリングオフを撤回する意思はなかったため明確にこの事業者の説得を拒否した。
ところがその3日後、事業者の販売員は申出人の勤務先の会社に赴いたうえで勤務中の申出人を呼び出し、「何とかなりませんか」などと申出人にたいしてクーリングオフを撤回するよう説得を行った。
しかしながら、特定商取引法第7条第4号及び同法施行規則第7条第1号で「迷惑を覚えさせる仕方」で勧誘やクーリングオフの妨害をすることが禁止されているところ、クーリングオフによる契約の解除を申出た購入者の勤務先に押しかけてクーリングオフの撤回を求める行為は購入者の私生活上の平穏を害する行為であって「迷惑を覚えさせる仕方」に該当すると考えられるから、このような事業者の行為は法律に違反する違法なものであるといえる。
以上のような状況であるため、事業者による同様の被害が拡大しないよう貴庁においてしかるべく対応されたい。

4.その他参考となる事項

特になし

以上

申出書の記載の要点

申出書の根拠法令

上記の申出書は特定商取引法第60条に基づく申出に関する申出書の記載例となります。

なお、特定商取引法第60条に関する申出制度の詳細についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

申出書の様式について

特定商取引法第60条に基づく申出で使用する申出書は法律で様式が定められています(特定商取引法施行規則第57条第2項)。

申出書の雛型は消費者庁のサイトからダウンロードすることが可能です。

▶ 特定商取引法の申出制度|消費者庁

▶ 特定商取引法第60条に基づく申出書(様式第五)pdf|消費者庁

申出書の提出先

特定商取引法第60条に基づく申出書は「消費者庁長官」もしくは「地方経済産業局長」または「都道府県知事」に対して提出することが必要になります。

「消費者庁長官」「経済産業局長」「都道府県知事」のどこに提出すればよいかという点や具体的な送付先(消費者庁・各地域の経済産業局・都道府県の担当部署)についてもこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 悪質な訪問販売・電話勧誘等の業者に行政処分を与える方法

申出書記載の要領

特定商取引法第60条に基づく申出書には、法令で「申出人の氏名又は名称及び住所」「申出に係る取引の態様」「申出の趣旨」「その他参考となる事項」の4項目を記載することが義務付けられており(特定商取引法施行規則第57条)、また申出書の様式(様式第五)ではこの4項目に加えて「申出に係る事業者」を記載する欄が設けられていることから、以上の5つの項目について申出書に記載する必要があります。

【特定商取引法施行規則第57条】

第1項 法第60条第1項 の規定により主務大臣に対して申出をしようとする者は、次の事項を記載した申出書を提出しなければならない。
一  申出人の氏名又は名称及び住所
二  申出に係る取引の態様
三  申出の趣旨
四  その他参考となる事項
第2項  前項の規定により提出する申出書は、様式第五によること。

①「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄の書き方

「申出人の氏名又は名称及び住所」の欄には、申出を行う人の氏名と住所を記載します。

前述したように特定商取引法第60条に基づいて行政処分を促す申出をする場合は「申出人の氏名又は名称及び住所」を記載することが法律で義務付けられていますので(特定商取引法施行規則第57条)、匿名で申出することは基本的にできないと考えた方が良いでしょう。

仮に「申出人の氏名又は名称及び住所」を記載しないで申出書を作成した場合(匿名で申出書を提出した場合)には、”特定商取引法第60条の申出”の要件を満たさないことになりますので、役所の方でも法律上”特定商取引法第60条に基づく申出”として受理することはできず、”単なる情報提供”として処理されることになります。

”特定商取引法第60条に基づく申出”として受理された場合には、申出を受けた行政庁には調査や必要な措置をすることが義務付けられますので必ず何らかの処分が出されることが期待できますが、”単なる情報提供”として処理される場合には行政庁に調査や措置を行う義務は発生しませんので、申出を受け取った行政庁が調査等を行うかはその申出書を受け取った役人の判断次第となります。

なお、特定商取引法第60条の申出は「何人も」申出を行うことができますので、悪質商法の被害に遭った被害者本人だけでなく、その家族や友人、親戚等被害者以外の人が申出書を作成して申出を行うことも可能です。

②「申出に係る事業者」の欄の書き方

「申出に係る事業者」の欄には、違法行為を行っている事業者の名称と住所を記載します。

この場合、事業者が法人(会社)の場合は登記簿上に記載されている業者の「名称」を、事業者が個人事業主の場合は「屋号」か「代表者の氏名」を記載します。

例えば、業者が株式会社の場合は「株式会社〇〇」と、業者が会社ではなく「悪質太郎」という人が個人事業主として営業しているものである場合には「悪質太郎」と、その悪質太郎が「悪質リフォームサービス」と言う屋号で営業している場合は「悪質リフォームサービス」と記載します。

③「申出に係る取引の態様」の欄の書き方

「申出に係る取引の態様」の欄には、違法行為を行っている業者がどのような態様で顧客と取引を行っているかという点を記載します。

上記の記載例では電話による勧誘を受けた事案を例として挙げていますので「電話勧誘販売」と記載していますが、その勧誘の態様に応じて適宜書き換えてください(※例えばキャッチセールスの場合は「キャッチセールス」など)。

④ 「申出の趣旨」の欄の書き方

「申出の趣旨」の欄には、業者がどのような法律違反行為を行っているか(業者のどのような法律違反行為で被害を受けているか)を具体的に記載します。

上記のの事例では、訪問販売(又はキャッチセールス、アポイントメントセールス)または電話勧誘販売においては勧誘を受けた消費者が「迷惑を覚えさせる仕方」で勧誘(又はクーリングオフの妨害)を行うことが禁じられているにもかかわらず(訪問販売等の場合→特定商取引法施行規則第7条、電話勧誘販売の場合→特定商取引法施行規則第23条)、クーリングオフを申出た購入者(申出人)の勤務先まで出向いてそのクーリングオフを思いとどまらせようと説得をしていることから、その「勤務先に押しかけたこと」自体を「迷惑を覚えさせる仕方」として監督官庁に違法行為の申出を行って行政処分を求める文章にしています。

※なお、具体的にどのような態様の勧誘が「迷惑を覚えさせる仕方」にあたるかという点についてはこちらのページで詳細に解説しています。

訪問販売等の業者の「迷惑を覚えさせる仕方」での勧誘の具体例

⑤ 「その他参考となる事項」の欄の書き方

「その他参考となる事項」の欄には、上記①~④の他に被害の事実を説明できるような事項を記載します。

基本的には被害の事実を説明できる事項であれば何を書いてもいいのではないかと思いますが、一般的には被害事実を証明できるような資料を箇条書きにしてその資料を申出書に添付することが多いようです。

もっとも、業者の違法性を明らかとするような証拠がない場合には上記の記載例のように「特になし」と記載しても構いません。

(※特定商取引法第60条の申出は単に監督官庁に違法行為があったことを申出るものであって裁判とはことなりますから、業者の違法性を証明する証拠を提出しなくても全く問題ありません)。